今夜の音楽_『ノーヴェンバー・レイン』
音楽に浸るのは木曜日の夜と決めていますが、今夜は、ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)『ノーヴェンバー・レイン November Rain』(1991)を取り上げてみたいと思います。
11月の終わりに……
11月も最終盤となりました。微かに漂っていた秋から、本格的な冬へと移りゆく気配が濃厚となってきました。昨夜は、部屋に居てもはっきりとわかるくらいの、叩きつけるような激しい雨が降りました。12月までは使用を封印しようと考えていたエアコンも今週からフル稼働させています。11月の雨…… からの連想で、ガンズ・アンド・ローゼズの『ノーヴェンバー・レイン』が思い浮かび、歌詞を確認しながら聴くことにしました。
ガンズ・アンド・ローゼズの代表曲
1987年7月のデビューアルバム、『アペタイト・フォー・ディストラクション Appetite for Destruction』が大ヒットを記録し、「最も稼いだロックバンド」と形容されたガンズ・アンド・ローゼズ(以下ガンズ)が、ロック史上に重要な地位を占めるロックバンドである、という評価に異存はありません。ただし、私自身はガンズに強烈な思い入れはありません。それは、1980年代に主流の位置を占めていた、いわゆる”LAメタル”が私の嗜好に会わなかったこと、彼らの全盛期である1980年代後半から1990年代前半は一時程の音楽熱を注いでいなかったこと、が影響しています。
それでも、全米No.1を記録した『スウィート・チャイルド・オブ・マイン Sweet Child o' Mine』は好きな曲だったし、『ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル Welcome to the Jungle』『パラダイス・シティ Paradise City』等が収められているファースト・アルバムは、当時の神戸の下宿でよく聴いていた記憶があります。ところが、本日取り上げる『ノーヴェンバー・レイン』が収められている1991年発売の二枚組アルバム『ユーズ・ユア・イリュージョンⅠ/Ⅱ Use your Illusion Ⅰ/Ⅱ』には食指が動かず、聴いていた記憶が全くありません。勿論全世界で大ヒットしたアルバムなので、その中の数曲は単発で知っており、『ノーヴェンバー・レイン』はその一つです。
ガンズの代表曲をどれか1つ選ぶとすれば、私は躊躇なくこの曲を選びます。歴史に残るバンドやアーティストの最も知られている楽曲は、スローテンポのパワーバラードである場合が少なくありません。ガンズのこの曲は、レッド・ツェッペリン(Led Zepplin)『天国への階段 Stairway to Heaven』、プリンス(Prince)『パープル・レイン Purple Rain』、イーグルス(Eagles)『ホテル・カリフォルニア Hotel California』のような位置付けにある、と感じています。
11月の雨の比喩
この曲の原曲は、ヴォーカルのアクセル・ローズ(Axl Rose 1962/2/6-)によって1983年頃に作られたとされ、自身は思い入れが深かったものの、その後なかなかカタチにすることが出来ず、長らくお蔵入りしていたものだったようです。温め続けてようやく楽曲の完成に漕ぎ着けたものの、バラード曲をやりたくなかったバンドメンバーには不評で、反対を強引に押し切ってレコーディングに持ち込んだとも言われています。
9分近い大作です。ローズの静かなピアノ演奏から始まり、後半の転調後はヘヴィに盛り上がっていきますが、終始荘厳な雰囲気を保って、エンディングを迎えます。全体の構成は、エルトン・ジョン(Elton John)の『Funeral for a Friend / Love Lies Bleeding』に影響を受けていると言われます。『11月の雨』というワードは、決してハッピーなフレーズではなく、どこか重々しい影を纏った暗さも漂います。
スラッシュ(Slash 1965/7/23-)の二度のギターソロは、彼のベストテイクだと私は思っています。元々、曲の持つグルーブ感や印象を崩すことなく調和が取れたギタープレーをするのが彼の特徴ですが、この曲のテイクはパーフェクトだと思います。
今夜のように寒い夜に、この曲は結構沁みます。