ガルシア・マルケスのホロスコープ
ときどき、読み返したくなるのはガルシア・マルケスの短編小説。「予告された殺人の記録」が好みではあるけれど、自分の体験をうっすら重ねることのできるエレンディラのほうが印象は強めだ。
ガルシア・マルケスの名を知ったのは、大学卒業し社会人になったばかりで或るひとから薦められたから。だけど「百年の孤独」は最初の1ページで『もう、無理!』と思った。
ポドロフスキーのホーリー・マウンテンも好きで学生のとき映画館で観たくらいだし、宮内勝典が好きでラテンアメリカの空気感は慣れてたずなのだが。布張り装丁の、本のずっしりとした量感、あらゆる理屈を無視して”生命”のエネルギーだけがリアルを連れてくるような怒涛が予感されたためだろう。まだ読んでもないのに『もう、』だったのは、そのリアル感、は、すでに当時の私にしてみれば、自分の経験として積み上がっていたものであったから、お腹いっぱいなところに更にデザートを詰め込まれる感じが嫌だったんだと思う。
いろんな過去を鳥のように俯瞰して見れるようになったいま、懐かしいように感じる。
ガルシア・マルケスのホロスコープ(出生時刻の信頼度B)
小説家として成功するには3室(書き言葉)が強いか、5室(創造力)が必要だと思われる。出生時刻の信頼度が薄いということだが、アセンダント牡羊座のこの場合、3室にラーフが入って木星からアスペクトを受け、5室には太陽がアスペクトバックで両方良くなっているので納得できる。月が1室だと、生まれ故郷や自分のルーツ、根っこのところを心の安らぎとするので、小説のテーマには幼少〜少年期の体験の影響が深くなると考えられる。ガルシア・マルケスが、育ての親である祖父母の語り口に強い影響を受けて小説のスタイルに反映したというのは有名な話なので、これも納得。
マルケスが"自身の最高傑作"としている 「予告された殺人の記録」は実際の事件(しかも事件の当事者は自身の親族)がモチーフで、当時の事件関係者に取材をして回ったらしいが、執念深さに発展したこだわりを感じる。その人の「こだわり」は、ラーフや火星8番目のアスペクトとしてホロスコープには出るというが、そうすると、3室と9室ということになる。3室は書き言葉へのこだわり、親族へのこだわり、という意味になるので、とてもわかりやすい。けど、9室は?
9室支配の木星も射手座そのものも広報活動、広く世間に知らしめる意味が重なっている。ケートゥは毒のある言葉、哲学という意味があって殺人事件という社会的にアンチなテーマを扱うのはいかにも捻くれ者のケートゥが関与している気がする。また、他の作品と比べて「予告された殺人の記録」が緻密に構造計算されているのも、高度な言語構造(プログラミングとか)を扱うケートゥが関与していそう。9室は死因、という意味もある。それと、3室から数えた6室になるので、書くことや親族への義務、ということもありそう。
・・・うーん。作品の創作期とダシャーとか見比べて調べるともっと面白そうだー。