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榊マリコという女性

“榊マリコ”という女性をご存知だろうか。

テレビ朝日系列のドラマ「科捜研の女」に登場する沢口靖子さんが演じる主人公の名前だ。

京都府警の科学捜査研究所に所属する彼女が、刑事や他の所員と難事件を化学の力で解決していくストーリーで、20年以上にわたって多くの方に愛されている。

私は小学生のときから彼女のファンだった。小学校の卒業文集には「科捜研に入りたい」と書いたし、高校に入って理系の才能がまるでないと気付くまでは化学か生物に関わる仕事をすると信じてやまなかった。

しかし、ひとつ誤解をしていた。そのことに、ファンになってから10年以上経った今日、気付いた。

きっかけはやはり「科捜研の女」である。

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私は彼女がしている“科学捜査の仕事”に憧れているのだとばかり思っていた。最新の操作機器を使い、物理的証拠を導き出し、事件を解決する。私も彼女のように仕事をしたいと思った。

私が憧れたのは“科学捜査の仕事”ではなく、彼女の“仕事に取り組む姿勢”ではないか。テレビから聞こえたマリコの声に、私は目を覚ますことになった。

今日の再放送。民間の科捜研から協力として派遣された研究員が「3日も徹夜をして働くなんて間違っている」とマリコに感情的に告げるシーンがあった。しかし、マリコはこう返す。

「寝食を忘れるほど、仕事に打ち込むのは悪いことですか?」

あくまでフィクションの中なので、三徹が人体的にどうなのかなどの話は置いておくとして、《寝食を忘れる》というのは私にとって衝撃的な言葉だった。

学生にはできない、ひとつの仕事に打ち込み続けること。数年、数十年と同じ仕事に新年を持ち続けるということ。自分の仕事に紛うことのない誇りを持つということ。私の理想であったそれは、全部ひっくるめたら《寝食を忘れる》と表現されるのだと知った。

家族に見せるには恥ずかしい。時間が足りないのに、適度に手を抜いていいと言われた。仕事に誇りを持てない。思い返せば、仕事に不満ばかりを抱えていた。もっと自分の時間を大切にしたい。休みがほしい。気付けばそんな気持ちばかりが先行するようになっていた。しかし、私が憧れた榊マリコはそんな姿勢を微塵もみせない。私は仕事を主に生きる彼女に憧れたし、それが私の「働く理由」なのだ。

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もし、小学生の私と話す時間があるなら、私は私を褒めてあげたい。「君の憧れは正しいし、その思いは今も変わらない」と。

10年以上前からの私の憧れ。榊マリコという女性。私は彼女の背中をずっと追い続けるのだろう。

20201009


10月22日からシーズン20が放送予定らしい。絶対見ます。https://www.tv-asahi.co.jp/kasouken20/

※放送を見て少し経ってから書いているので、劇中の台詞は「こんな感じ」くらいで把握してください。


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