浦島太郎「ルネッサ~ン♪」を疑う
ある時期、日本を離れて働いていた時期があった。インターネットや電話を使うのにも、ちょっと不自由な環境だ。
帰国して早々、合コンに呼ばれた。
合コン...今となっては懐かしい響き。
「ねぇモンロー、今は乾杯のときにルネッサ~ン♪って言うんだよ。あ~...だよね、知らないよね。うん、だと思った。とにかく、ルネッサ~ンだから」友人A乃。
嘘だ。
前にもこういうことがあった。私が知らないことを教えてくれる。結構助かった。だからと言って、今回はどうなんだ?何なんだそのルネッサ~ン...ス?とやらは。
そして合コン。メンバーの飲み物が揃う。
いよいよだ。
「ルネッサ~ン♪」
ええええぇ~!ホントにホントにホントなの~!?まさか、あっち側もグルになって私を貶めようとしているとか。そうに違いない。
合コン中、話が頭に入ってこない。「ルネッサ~ン」は本当に現在の流行語なのか。
流行語というのは、テレビやCMなどからジワリジワリと耳にしたり目にしたりして、いつの間にか人の記憶に残り、多くの人が口にすることで流行っていくものなのだろう。
私はその流行の時期をすっぽり逃していたのだろうか。怪しい...疑わしい。
友人A乃は優しい。
しかし、合コン前には「とにかくルネッサ~ン♪だから」と言い捨てられ、そう言われた私は置いていかれた、捨てられた気持ちになった。宴の最中ずっと疑うことに集中していたように思う。
しかしA乃は本当に優しいのだ。それはわかっていたけれど、それでも疑ってしまった私。疑ってごめん。
合コンが終わると、それはそれは丁寧にルネッサ~ン♪の起源(?)から使い方、模擬ルネッサ~ン♪まで付き合ってくれた。
「ルネッサ~ン♪で、スはいらないの」
丁寧に親身に教えてくれればくれるほど、面白さが遠のいて行く...
その面白さがわからない私を見るA乃の顔が、かなしそうだ。
「ごめん...ホントにありがとう。っていうか疑ってた、ごめん。でも...どう面白がったらよいか、正直わからないんだよぉ~」と、私。
ルネッサ~ンと調べた。ルネッサ~ンスが正しいのではないか?スはいるんじゃないか?情報はなんとなくつかめるものの、どう面白がっていいのか、どう使っていいのかわからない。センスの問題か?
流行語には使い方の解説がないので(そんなものがあったらさめるばかりだ)私はさらに置いてきぼりになる浦島太郎だ。
今ではルネッサ~ンスの二人組をテレビで見ることはあまりないけれど、そもそも私がそういう番組を見ていないのかな。インパクトのある風貌だ、きっと私の知らないどこかで活躍しているのだろう。
あの日のA乃の顔がふわっと浮かぶ。
面白さを理解できない私を見て、ちょっとかなしい顔。やれやれの顔。優しい顔。
乾杯が好きだ。
おいしいもたのしいも、乾杯からはじまる。
A乃がいる宴での乾杯は格別だ。
会えるようになったら、乾杯は勿論...ふふふ
「ルネッサ~ン!...古っ(笑)」