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サワードウ始めました
サワードウというのはパン作りに使う天然酵母のことです。小麦粉(またはライ麦粉)と水を混ぜて置いておくと、空気中の細菌と酵母が反応してサワードウスターター(サワー種)ができるので、それを使ってパンを膨らませるんです。小麦粉と水だけでパンが焼けるなんて、魔法みたいですよね。
サワードウのパンはその名の通り少し酸味があるのが特徴です。これは自然酵母が反応する過程で乳酸菌が繁殖するからだそうです。詳しくは「穀物のデンプンと水が接触すると、穀物自体に含まれる酵素のアミラーゼによってデンプンが加水分解され、マルトース(麦芽糖)をはじめとする糖類が生じる。穀物表面や空気中に存在している乳酸菌はマルトースを代謝してグルコースやフルクトースなどを生産し、さらにこれらを栄養源として酵母が生長する」だそうです(ウィキペディア情報)。
サワー種は定期的に小麦粉と水を継ぎ足して上手く管理すれば何年も使い続けることができます。継ぎ足すたびに量が増えるから使っても使っても無くならないし。それなりに手がかかるし、代々受け継ぐなんて話もあるので、ちょっと日本の糠床みたいな感じかもしれませんね。糠床では百年床って聞いたことありますが、サワー種はなんと233年ものがEtsyで売られてました。
で、なぜ今サワードウを始めようと思ったかというと、これもアラスカ旅行の影響です。アラスカクルーズのオプションツアーで「キッチンサイエンス(料理は科学だ!)」というワークショップに参加したのですが、その中でサワードウがゴールドラッシュ時代に活躍した話があったんです。ワークショップ主催のベッド&ブレックファストでは今も当時から受け継いだサワー種を使って毎朝パンを焼いているとか、参加者にも自宅でサワードウやってる人もいたりして、私もやってみたいと思ったんですよね。
サワードウは、まずはサワードウスターターを作ります。小麦粉(またはライ麦粉)と同量の水を混ぜて、清潔な容器に入れて、かるく蓋をし、室温で置いておきます。
サワードウスターターの作り方はこちらのサイトを参照させていただきました
小麦粉は漂白されていなければなんでもいいみたいですが、全粒粉やライ麦粉だと成功しやすいみたいな話をどこかで読んだので、まずは全粒粉で始めてみました。水はフィルターで濾過したものを室温より少し温かいくらいにしてみました。空気中の細菌が混ざって発酵しますように!という願いを込めて、粉のダマがなくなってからも30秒以上しっかり混ぜます。載せるだけの蓋は少しだけ隙間をあけておきました。
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翌日(だいたい24時間後)に見てみると、少しだけ気泡がでていました。粉と水を混ぜた直後は固めだった種が流れるくらいゆるくなっています。ここでまた最初と同じ分量の小麦粉と水を足します。「餌やり(feeding)」です。
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この日は調理中のスロークッカーの隣に置いてあったせいか、2日目にして倍以上に膨らみました。すごい!前途洋々じゃない〜?と喜んだのですが、3日目からはあまり動きが見られなくなりました。酸っぱいにおいは強くなって安定したものの、餌やり後にも膨らまないのに水分が分離して上がってきちゃったり、なんか固いままゆるくならなかったり。
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布巾で包んで温めた後のスロークッカーに置いてみたり、餌やりの分量を変えてみたり、粉を全粒湖から中力粉に変えてみたり、思い切って多めに「捨て」て「餌」も多めにしてみたり、いろいろ試行錯誤。その結果、9日目くらいから種が安定し、毎回餌やり数時間後にしっかり気泡が出て倍以上に膨らむようになりました。サワードウスターターの完成です。
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そして、サワードウを始めて11日目、満を持してサワードウブレッドを焼いてみました!
サワードウブレッドは、パン焼き用にサワー種にフィードしてから焼き上がるまで24時間以上かかる気の長い工程ですが、ほとんど休ませたり発酵させたりしてるので、実際の作業にそこまで時間がかかるわけではありません。前日の朝にサワー種にフィードして酵母を活性化させ、夕方に生地作りを始めます。強力粉と水、塩とサワー種をよく混ぜて、生地を休ませながら捏ねたり折り畳んだり形を整えたりして、一晩冷蔵庫でゆっくり発酵させ、次の日の朝にダッチオーブン(我が家ではその代わりの鋳物ホーローの片手鍋)に入れてオーブンで焼きます。
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サワードウブレッドの作り方もこちらのサイトを参照させていただきました
ということで、第1弾・基本のサワードウブレッド、焼き上がりました!
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最初にしてはすごくいい感じで焼けたと思います。ちょうどよく膨らんで、クープもいい感じだし、スライスしてみると気泡もちゃんと入ってて偏ってもいません。食べてみると、外はしっかりパリパリ、中はもちもちで酸味もそこまで強くなく、すごく私好みのパンに焼き上がりました。私はもともと日本のふわふわ食パンがあまり好きじゃなくて、日本にいた頃から田舎風のパンを好んで食べていたので、このパンは自分的には大ヒットです。典型的なサンフランシスコ・サワードウブレッドはちょっと酸味が強すぎると思っていたので、酸味が少ないのも好みに合ってました。大満足です〜!
第一弾のパンを焼いた後も、サワードウスターターの世話はもちろん続けています。世話だけでなく、スターターは「餌やり」するたびに増えるわけで、定期的に使っていかないと溜まる一方になっちゃうので、もっとパンを焼いたり、マフィンに入れたり、パンケーキ焼いたり、とまめに消費しています。あとは友達にサワー種を分家(お裾分け)したり。
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日々「世話」をしてると、だんだんサワードウスターターに愛着が湧いてきます。手のかかるペットみたいな感じ。実際、酵母なので生き物ですしね。サワー種に愛称つける人もいるという話を聞いて、我が家でもそれに倣ってサワードウスターターに「アラスカ」という名前をつけました。
アラスカちゃん、これからもよろしくね!
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