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【映画感想】神々の山嶺



■「神々の山嶺」観てきた。
とても良い。
登山家の心境とそれに近づいてゆく写真家。
山の風景もただリアルなだけじゃなく、
その心持ちまで描いてゆく。
怖さよりも美しさ、
畏敬の念が思い浮かぶ。
職人気質の人間の奥底を覗く。


■しかし私はこの人たちの生真面目さは苦手だ。
人間としては好きだし尊敬もするが、
友達や隣人としてはとても面倒臭そうだ。

だが、羽生が中途半端な志の仲間とは言葉少なく、
挑戦を試みようとするライバルには饒舌に山について語り出す。
そこはなんだかよく分かる。

■彼らは夢を生きているのではなく。
本当にやりたい事をやっているのだ。
多くの人がそれが何かもわからないまま暮らしていると言うのに。
彼らは早々にそれを見つけ。
やるべきこともはっきりと分かっている。
羨ましいものだ。

難しい山への挑戦は危険だし死と隣り合わせだ。
だが、やりたいことだし、やるべきことなのだ。
迷いもない。

■そんな彼らもなんの悩みもないわけじゃない。
お金がないと山は登れないし。
仲間の命を失ってしまうこともある。

地上での悩みや迷い、自分自身の意地やら世間との関わり。
それらの答えが山を登っている時に返ってくる。

■ほら、地上ではそう言っていたが。
今ここ、山でミスを犯し腕を折り
吹雪に見舞われ遭難しかかっている状況だ。
お前はなんとする?
ひとりで全てをやり遂げるのか?
仲間のロープを切り捨てるのか。
もしくはお前が切り捨てられるのか?

■誰の助けも来ない。
山は非常だ。
だが、なぜだか力が湧き上がる。
諦める気など微塵もない。

なぜだ。
その理由は分からない。

■だが、その理由がわからなくとも。
そうするべきだとは分かっているから問題はないのだ。
それが喜びなのだから。

それがそうだと分かっているのだから。
前へ進む力の炎が腹の奥に灯る。

映画『神々の山嶺』公式サイト - ロングライド

極楽京都日記: 【映画感想】神々の山嶺


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