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今さら長崎旅~大浦天主堂・出島~

修学旅行の十八番へ

軍艦島に行き、伊王島で過ごした翌日は、大浦天主堂へ。

シーズンは修学旅行。制服・私服の混じる中学生らしき子どもたちが屯していて、あっちへ行こう、こっちへ行こうと浮足立っている。

福岡出身であるわたしは、小学校の修学旅行で長崎に行った。平和記念公園や原爆資料館からのハウステンボスコース。”びいどろ”を買ったことは覚えているのに、大浦天主堂やグラバー園、出島に行ったことは全く覚えてない。もしかして行ってないのかもしれない。だが長崎へ行っておいて、それらのメインスポットを逃すだろうか。

とにかく記憶にないと言うのもあって、是非行ってみたいと思った。

小雨の降る中、大浦天主堂までの坂道を上る。京都や神戸、江の島などその他多くの坂のある観光地と同じく、両サイドにお土産屋さんと、食べ歩きと途中休憩ができる飲食店がずらりと並ぶ。

大浦天主堂

そして坂のドン突きにようやくその姿を見せる。

大浦天主堂

入場料1,000円には少し驚いた。高いな、と思ってしまった。

中に入るとゴシック様式の荘厳な造りや、煌びやかなステンドグラスに目を奪われる。細かい装飾、マリア像をはじめとする様々な像や彫刻など、見所は充分。雨と言うのもあったかもしれないけれど、海外の教会で感じるような「すっごぉ~い!」という感情はなく(決して地味ではない)、心が引き締まるような、言葉を失うような気持ちになったのは不思議だった。

大浦天主堂は1864年に創建されたのだが、その目的は1597年に殉教した二十六人に捧げるためのもので、正式には「日本二十六聖殉教者聖堂」という名だと言う。だがその後、禁教令が出て、鎖国も始まる。キリシタンたちは「崩れ」と呼ばれる摘発を受け、禁教令が失効する1873年まで拷問や苦役を強いられた。禁教下の1865年、大浦天主堂に潜伏キリシタンが訪れ、信仰を打ち明けたことも有名で『信徒発見』と呼ばれている。

大浦天主堂にそのような歴史があったことを全く知らなかった。久しぶりに日本史の勉強をした気がする。キリスト教が迫害を受けていたこと、隠れキリシタンがいたこと、くらいは知識としてあったが、どのようにその信仰を貫いたのか、布教に誰がどのように尽力したのか(ザビエルだけは知っているが)、ということは全くもって知らなかった。もしくは忘れ去っていた。

きっとその暗い歴史と乗り越えるために命を捧げた人たちの思いが、訪れる人にも伝わって、わたしもシャキッとしたのではないかと思う。

敷地内にある旧羅典神学校、旧長崎大司教館が、キリシタン博物館として開館していて、膨大な数の資料が展示されている。

とても立派な施設で全部見て回るのはかなりの時間を要する。きっと修学旅行生も時間内に全部見て回れないと思うからもったいないね。たくさんのことを感じ、学べる大浦天主堂、想像以上だった。

出島

情報量が多すぎて頭がいっぱいになりつつ、次に向かったのは、鎖国中に造られた出島。正式名称は「国指定史跡 出島和蘭商館跡 出島」

20年くらい前に訪れたことがあると言う父は、その変貌ぶりに驚愕していた。観光施設として進化していて、バリアフリーにも対応している。

大浦天主堂と同じく、資料館が充実していて、当時を再現してつくられた模型や映像資料が溢れていた。

ミニ出島

1636年に造れらた出島。国がお金を出して作ったものではなく、長崎の25人の有力な町人が出資したという。今で言うスポンサーである。
ここで暮らすオランダ人は外出が一切許されていなかったというから、異国な上に、相当ツラい生活環境だったと想像する。

カピタン部屋・大広間

オランダ商館長(カピタン)の居宅は一番豪華。当時の日本家屋との大きな違いは天井の高さである。基本的に女人禁制で、妻子の同伴も許されず、世話係は男性が請け負っていた。唯一遊女だけがイベントごとの時に呼ばれ、給仕(など)をしていたという。

案内人が言うには、遊女は相当賢くないと務まらず、最上級レベルの遊女が出島に派遣されていた。出島の遊女を調べていると面白い記事があったので添付↓

出島も大浦天主堂に負けず劣らずの施設だが、入場料は520円と安い。案内人は「世界遺産になってから値上げしたんです」と半分憎々しげに半分笑いながら言っていた。世界遺産のパワー恐るべし。

長崎旅を振り返って

改めて長崎を旅してみて、面白い土地だと思った。もちろんどこの都道府県もそれぞれに溢れる魅力があることは承知の上だが、自分のルーツがある場所の歴史や文化に大人になって触れてみると、特にその素晴らしさを味わえるのではないかと思った。

そして、やっぱり歴史。全然覚えてない。

こんなに悲喜こもごもの、ドラマチックで、ダイナミックな出来事が当たり前のように起こったことを、一度義務教育にて学んでいるにも関わらず、そのほとんどがわたしの脳みそには残っていないことに憤りすら感じる。

仕方のないことなのだろうけど、せめてこれから旅行するときは、その国や土地の文化をおさらいしてから行けば、もっともっと実のあるものになるのだろうと、そう感じた。

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