【2021/9/30】膝立てる女
最近、すぐ膝を立てて座ってしまう。
”立ててしまう”と書いたのは、お行儀のよくない座り方だと思っているからだ。イスなら足を揃えて、直になら正座、が教わってきた風習だろう。
韓国ドラマなんかではよく女性が膝を立てて食べていたり、喋っていたりという描写が多く、女性が膝を立てるのは韓国の文化だという知識もあった。
それが何でか立てている。イスに座っていても立てている。
物理的な問題があるとしたら、多分腹筋の衰えではないかと分析する。
普段イスに座っていて、自分が猫背になっていると気付いたら、すぐさま姿勢を正す。年を取った時に背中が曲がっていたくないし、そもそも背の高いわたしは姿勢が悪くなりがちだという認識もある。
姿勢を正しく保つのは、実は腹筋も背筋も結構使っていて、なんならお腹をひっこめて、さらにインナーマッスルと呼ばれる奥にある筋肉まで意識を飛ばさないといけない。これを長時間続けるのはハードである。だから姿勢がおのずと悪くなる。それでも以前は、猫背と良い姿勢を半々くらいで保てていた感覚がある。
でも最近、この「立て膝」をマスターしてからというもの、気付いたらやっている。べらぼうに楽なのだ。そして自らの身体が折りたたまれている感じがきゅっとまとまった安心感も強くしている。
行儀が悪いという自らの後ろ指にさされながら、それでも右ひざをあげる毎日。
どうにか肯定してあげたいと検索してみたら意外な事実が見つかった。
【戦国時代までは身分の高い女性は立て膝が正しい作法だった】
ひとつ前の大河ドラマ『麒麟が来る』で、立て膝が話題になったという。
参照 → https://rekishi.sseikatsu.net/tatehiza/
まぁ別に私は身分が高いわけでもないし、過去そうだったとしても現代の日本では立て膝はお行儀のいいものとして扱われていないのは事実である。
けれども、その文化の変遷の中に、儒教が色濃く残っていて、まとめると、
・江戸時代、徳川幕府は儒教(朱子学)を採用、武士階級に儒教を広め、後半には庶民にも広まる
・儒教の特徴は上下関係の徹底や攘夷の思想
(目的は武士と町人の身分、主君と家臣の身分をはっきりさせるため)
・儒教では女性の地位が低い
(江戸時代には男と女の立場も上下に分けていた。そのため女性は正座でなければいけなかった)
これを見ると、女性であるわたしはどうしても抗いたくなる。立て膝NGは女性の地位が低いとみなされていた時代の名残であるからである。
だからと言って、立て膝でいいじゃん!と言いたい訳ではない。畏まった場や目上の方がいる場で立て膝やってやんぜ、みたいな気持ちも毛頭ない。ただ、歴史を知ることで、今当たり前だと思っていることがなぜそうなったのか、では現代においてその当たり前は本当に必要なのか、そういう視点は持ち続ける必要があると感じた。
つまり、わたしの立て膝は、腹筋の衰えによる怠惰であることに変わりはないということだ。