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箱根駅伝初観戦記ー復路ー

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往路、推しの東洋大が11位だったという衝撃の結果を引き摺りながら、復路での大躍進を期待して、テレビの前に腰を据えた。近年と比較して、大混乱の結果となった往路。1位の青学はやはりと言う感じだが、優勝候補の東海大は4位で苦戦し、逆に予選会から出場の東国大は3位、創価大7位の大健闘となった。

8時となり、芦ノ湖から選手たちが順番に出発していく。山下りは度胸がいるという。加速していくスピードを怖がらずに攻めていけるか...というのを「風が強く吹いている」で読んだ。

テレビ観戦しながら、私の心の中にはある思いが浮かんでいた。

「監督たちの檄や指示を生で聞きたいなぁ」

駅伝ファンには周知の事実だが、意外と知られていないのは、監督が声かけできる場所は決まっているということ。基本的には、1km、3km、5km、10km、15km、残り3km、残り1kmとなっている。私もガイド本を読むまで知らなかった。本にはその場所が地図に細かく載っている。

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拡声器マークが声かけポイント。

あぁ聞きたい。特に酒井監督の声を聞きたい・・・トップ争いに絡んでいない東洋大はテレビ画面に映る回数も減っていたので尚更そう思っていた。私はガイド本を開き、家から近くて行きやすそうな声かけポイントを探した。

よし、10区3km地点だ。

先頭の選手が9区に入ってすぐに家を出て、川崎駅へ向かった。初売りに出かけるであろう人たちの間をすり抜け、国道15号へ向かう。同じ方向へ歩いているのは、箱根駅伝の応援旗を持ったファンたち。六郷橋まで歩いていると、汗がじんわりと出てきた。それくらい暖かかった。選手たちにとってはツラい環境かもしれない。移動中もスマホでライブ映像で見ながら状況をチェック。やはり青学の独走は続いている。

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橋の中央あたりを陣取り、選手を待つ。上空にはヘリコプターが飛んでいる。すると青学の選手がやって来た。追走する監督車からは原監督が見えた。

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原監督は「〇分〇〇秒・・」と選手のペースを伝えている。が、指示はココからだ、ってところで車は走り去り、聞こえなくなってしまった。私がいるのは3kmジャストの地点だったので、声かけの序盤しか聞こえなかったのだ。そう気付いて、少し進んだところに移動した。

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東洋大学の選手がやってきた。シード権ギリギリの10位。まだ10区は始まったばかりなので、ゴールの大手町まで安心はできない。それもあってか、酒井監督の指示は

「もう少しペース上げよう」

と穏やかながらも、厳しさが見えた。そこにSっ気を感じた私はキュンとしてしまった(笑)基本的にはどの監督も、檄というよりは、応援に近い声かけで、聞いていると微笑ましく、こちらまで癒された。それは、選手に対しての信頼があり、思いっきり走ってこい!と送り出しているからだと思う。

そしてやはり選手たちはあっという間にいなくなり、観戦客は徐々に散っていく。駅についてスマホを見ると、青学のゴールが映し出されていた。全大学のゴールを見届けてから帰路についた。

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箱根駅伝の生観戦は、とても充実したものとなった。ガイド本を片手に、どこでだれを見ようと考える時間も楽しかったし、実際には見れなくても、来年は行ってみようと目標も芽生えた。待っている間の、観戦客の方の会話を聞いているのは勉強になったし、笑えるネタもあった。大学OBたちの分厚い応援、若い子たちのフレッシュな声援、地元の方の心温まる協力、駅伝ファンの戦略化された追っかけスタイル・・・箱根駅伝はランナーや出場校だけのものではなく、関係者やメディアだけのものでもないと、現地にいって改めて感じた。関東の大学だけしか出られないけれど、全国にファンがいる日本の一大イベントになった。金栗四三さんも天国から観戦し、楽しんでいるに違いない。

欲を言えば、いつか、全国の大学がチャレンジできる大会になればいいなと、西日本出身の私は思う。

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