箱根駅伝初観戦記ー往路ー
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箱根駅伝初観戦記ー序章ー
箱根駅伝初観戦記ー予選会ー
箱根駅伝初観戦記ー前日(つまり元日)ー
1月2日午前4時半。まだ辺りは暗くて人や動物の気配すらしない。時が止まっているような感覚である。目覚ましに起こされた私は、二度寝の末どうにか寝床から這い出した。始発には間に合わないだろうが、6時過ぎには大手町のスタート地点に辿り着ける。
今私が持ちうる可能な限りの防寒をして、寝静まった街並みを歩き出す。電車に乗ると人がパラパラいて、なんだかホッとした。電車の中でも箱根駅伝ガイドを読み漁る。スタート地点大手町。その後どこに行こう。
6時過ぎ。大手町駅、スタート地点に一番近い出口から地上へ出た。やはり薄暗い。スタートのアーチ(幟?)が設置されていなかったため、本当のスタート地点の確証が持てなかった。が、関係者らしきがたくさん集まっていて、ガイドの中にある地図を確認できたので、この場所で間違いないと思えた。とは言っても観戦客はまばら。今から場所取りしてしまうとスタート時刻まで身体と集中力が持たない気がして、少し周辺を散歩することにした。
読売新聞ビル。
暗くて見えにくいが、各大学の幟が飾られている。ひとつの象徴的な建物。
一区画ぐるりと回って、コンビニに入って少し暖を取ってから、トイレへ。このトイレがなかなかない。と言うか、地上には多分ない。地下鉄に戻って構内に入れてもらい、反対側の出口にあるトイレまで歩く羽目になった。構内アナウンスではしきりに「改札を出るとトイレはありません」と忠告していた。来年からは気を付けたい。
そして15分くらい経って元の場所に戻ると、いつもテレビで見るスタート地点が出来上がっていた。
ちょうど裏側から見ているイメージ。
ここで観戦しても選手の背中しか見えない。
ぐるッと正面に回って、観戦場所を探す。到着直後の静寂とは反対に、集い始めた観戦客が熱気を発していた。最前列は駅伝ファンによってビッシリと埋め尽くされていたので、2.5列目くらいにどうにか割り込んだ。
夜明けとともに大会関係者、メディア陣が次第に増え、関係車両が次々と目の前を通っていく。いつもテレビで見ていた風景が目の前にある。
スタート20分前になると選手たちのアップが始まった。知り合いなのか、駅伝ファンなのか、「〇〇くーん!」と黄色い声援が飛び交っている。でっかいカメラを抱えた人たちもシャッターを切りまくる。私も負けじと長いリーチを生かし、撮影を始めた。
私の推し大学の東洋・西山くんと、優勝候補青学・吉田くんが談笑しながらアップしている姿を見れて、カメラにも収められたので、あぁ来て良かったと思えた。
私の立っている目の前に折り畳みイスを持参した、いかにも駅伝ファン風情の人がいたので、少し話しかけてみた。
「毎年来られているんですか」と。
家族親戚4人での参戦だったようで、お母さんらしき人は毎年来ているらしい。この後、箱根まで追っかけ観戦をすると言う。いつか私も芦ノ湖までたどり着けるくらいの知識とフットワークを身につけたい。
スタート5分前。選手たちはアップを終え、スタート位置に並び始める。陸連の人がゼッケンをチェックする。報道陣は最終確認をしている。日テレアナの河村亮さんの姿も見え、ミーハー心が少し灯ったりした。
スタート前の緊張感が張り詰める。通常、シティマラソン系の大きな大会であれば、イベントや大きなファンファーレにより盛大に始まるのだが、箱根駅伝の場合は、むしろ逆だった。もうじき号砲が鳴ることは、会場にいる誰もが知っている。が、カウントダウンなどない。喧騒から、ほのかなザワツキに変わった。そして、急に、スタートの号砲が響いた。
私のスマホカメラではこのショットが限界であった。ユニフォームの色で判断してほしい。このくらいの勢いで選手たちは飛び出していき、すぐに角を曲がり、あっという間に視界から消え去った。
そこから追っかけ観戦組の大移動が始まる。流れに乗って東京駅まで歩く間に、次の観戦場所をどこにするかを決めなければならない。やはり花の二区が見たい。ガイド本に再び目を通し、保土谷駅に決めた。
駅を降りると、すでにたくさんの人で沿道が埋め尽くされていた。陸橋を渡り、ほどなく進んだところに陣取った。前にはお母さんと娘二人の家族が身を乗り出して、選手の到着を今か今かと待っていた。
高校生くらいのお姉ちゃんが、「相澤君まだかなぁ」や「〇〇君、頑張って欲しいんだよねぇ」と私がパッと顔の浮かばない選手の名前をスラスラと出して話している。これは相当な駅伝フリークだ。
そうしている内に先頭の選手がやって来た。彼女達は選手が来るたびに大きな声で名前を呼び、応援をしていた。今は箱根駅伝サイトで選手たちの現在地やライブ放送までも見ることができる。その中で、東洋の相澤選手と東国大の伊藤選手がずっと並走しているとの情報を聞きつける。その二人の到着を今か今かと待っていた。
現れた!!
注目の選手のふたりがものすごいスピードで迫って来る。伊藤選手に関しては予選会で見ていたし、相澤選手は言わずと知れた大学ナンバーワンランナーである。並走するふたりはあまりに軽やかで、その時間を楽しんでいるように見えた。
ふたりが走り去っていった後、私の大好きな酒井監督が監督者から見えた。なによりもそれに興奮した私がいた。車の窓枠から見える酒井監督はやはりカッコよかった。
私の背後にはテレビが設置されていたので、全選手が去った後もしばらくテレビの周りに人が集まり、観戦していた。二区から三区の襷リレーまでを見届けて、保土谷駅に戻った。駅には特設のグッズ売り場があって、箱根駅伝初観戦の記念にタオルを購入した。
もう1ヵ所、追いかけることも可能だったが、初心者は無理をしないことも大切。おとなしく家に帰り、その後のレース展開を見守った。やっぱり自宅観戦も悪くないなぁ・・・と暖かい部屋の中で思った。
明日の復路はどうしよう、、、もうひとつの悩みが浮かんだ。