4歳で逆上がりをした娘の話
わたしには6歳の娘がいる。
すみっコぐらしが好きで、スライム作りが好きで、YouTuberのお姉さんが紹介するコスメやおもちゃが好きで。お風呂ではゴーグルをつけていつまでも遊んでいるけれど、保育園では周りの空気を呼んで「しっかりしている」「お利口」と言われることの多い娘である。
娘とわたしは、似ているらしい。
容姿が「小さい頃のあなたそっくりよ」と母に言われる。確かに自分の昔の写真を見ると、目とか鼻の辺りとか、似てるかもと自分でも思う。娘の将来を憂いてしまうが、こればかりは仕方がない。
また、「お利口」と言われるところも似ている。集団の中でしっかり者を演じようとするのは、わたしも同じだ。教えたつもりもないから、なぜそうなるのか不思議である。
一方で、娘とわたしは似ていないところがある。
身体能力だ。娘は運動神経が抜群に良い。それは明らかにわたしにない資質である。
逆上がりの動画を繰り返し見ていたと思ったら、家にあった鉄棒で急に自力で逆上がりをした。娘が4歳の時だった。わたしは鉄棒が本当に苦手で、逆上がりはおろか前回りもろくにできない。その時点で、すでに娘はわたしを越えたのだ。10歳の息子もある能力でわたしを越えているが、娘のほうがその時期を迎えるのが早かった。
また、アイドルの歌とダンスに興味があるようで、ライブ映像を繰り返し見ては、見様見真似で振り付けと歌を習得していった。歌詞の意味なんて分からないだろうに、
「そうわたしは 2番目だって 分かっているから 知りたいの」
なんて言葉を口ずさみながら、手の動きの激しいダンスを再現している。どうやって手を動かしているか、わたしにはさっぱり分からない。
(坂道AKB「誰のことを一番愛してる?」より)
自分に似た顔が自分にできないことをやっている姿を眺めるのは、なんとも不思議な感覚だ。
自分の子供が自分と違う分野で能力を伸ばしていってくれるのは、本当にありがたいと思う。
たまには、「ママすごい」って言われたい時もあるけど、わたしはわたしにできないことを子供たちが実現してくれることが、何よりもうれしい。
これからも、わたしができないことを、どんどんやってのけてほしい。
わたしによく似た、その姿で。