朝が来る
辻村深月さん原作で2020年に映画化されたもの。
あらすじ▽
劇中に望まない子供を授かった女の子が出てくるんですが、その子が
「結婚して子供も欲しいなんてずるいなぁと思うけど、でもそういう人たちに私達は支えられているので」
みたいなセリフがあって、
どうしても世間は、恵まれない子供を産む人に批判しがちな傾向にありますが、その子達にもそれぞれ事情があってその結果として子供ができたわけで、責められることはあってはならないと思いました。
養子に出すことになったひかりちゃんは、相手の男の子にも両親にも見放されていたんですが、本当に心細かったと思います。
責める両親には何も相談できないし、1人で抱えて生きていくしかなかった。
その中で、ベビーバトンの浅見さんや同じ家に住む女の子達、そしてお腹の中の”べびたん”が唯一の支えだったのかなと思います。
ラストシーンで、赤ちゃんを養子の栗原夫婦に受け渡す時に出した手紙に
何かを書いた筆跡が残っていて、なぞってみると
「なかったことにしないで」と書いてありました。
子供を授かったことで辛かった事、毎日悩んで苦しんだこと、本当は自分で育てたかった自分の子、自分が産まなかったら養子としてもらうこともなかったという現実…..
毎日が幸せだからそういうことって薄れがちだけど、幸せだからこそ薄れてはいけない感情だなと思いました。
そして、片倉ひかりちゃんを演じた蒔田彩珠さんの表情の演技がいい。
中学時代の初心な時、子供を授かり、養子に出す時
そして家出して働き口を転々として路頭に迷い、栗原夫婦の元へ子供を返してほしいんですと訴えにくる場面では全く違う人に見える。
当時はまだ10代なんですが、心情の変化やうまく言えなくて爆発しちゃう様子、子供を産むことを経てからは妙に大人っぽい感じや社会に馴染めない感じなんかもそういう子にしか見えない。
色んな作品に出ているので今後の活躍にも期待です。