豆知識「発達障害とスキーマ療法」

最近すごく難しい豆知識ばかりを更新していた気がします。
今日は、スキーマ療法が発達障害にも有効であるという話をしたいと思います。

発達障害とスキーマ療法については、実際に研究されているところです。

私はこの研究をしている人からスキーマ療法を受け、実際に発達特性に関してかなり改善されました。

では、何をしたのか。

①発達特性をモードと特性にわける

発達特性と言われてみなさんは何を思い浮かべるでしょうか?

私が真っ先に思い浮かべるのは「予定変更でパニックを起こす」「見通しがつかないと不安」「先延ばし」「切り替えが苦手」などです。

で、これは結構有名な話なんですが、発達特性はプラスにもマイナスにも表現できます。

たとえば、「先延ばし」は、「締め切りの直前になると行動する」という特性をマイナスに表現したものです。

「締め切りの直前になると行動する」をプラスに表現すれば「締め切りのあるものは行動できる」です。

また、「切り替えが苦手」は、「ひとつのことに執着する」という特性をマイナスに表現したものです。

「ひとつのことに執着する」をプラスの表現にすると「特定のことに詳しくなる」などになります。

この例を見てわかると思いますが、中立的な表現「ひとつのことに執着する」をマイナスやプラスに言い換えるとき、いろいろなパターンに言い換えることができます。

「ひとつのことに執着する」
→切り替えが苦手
→こだわりが強い
→特定のことに詳しくなる
→フラッシュバックしやすい
→専門家並みの知識を持っている
→集中するときは人よりずっと集中している

などなど。

で、何が言いたいかと言うと、多くの人が考えている「発達特性」は実は特性のなかのプラスやマイナスの面だけを抜き取ったものだということです。

スキーマ療法では、まずは発達特性を中立的な表現にすることを行います。

そして、マイナスやプラスの表現になっているものを「モード」と呼び分けます。

例)
「予定変更でパニックを起こす」→「ひとつのことに執着する」+「パニックモード」
「見通しがつかないと不安」→「はっきりさせたい」+「不安モード」
「先延ばし」→「締め切りの直前になると行動する」+「甘えるモード」
「切り替えが苦手」→「ひとつのことに執着する」+「コントロール不能モード」

私はこんな感じで自分の発達特性を中立的な表現とモードに分けていきました。


②特性ではなくモードを治療する

これまでの説明でわかったかもしれませんが、発達障害の人の困り感のほとんどは実は特性ではなく、特性由来の「モード」のせいなんです。

だから、スキーマ療法では、発達特性そのものではなく、発達特性から切り離したモードをコントロールできるように訓練することで、発達障害の人の困り感を減らすことができます。

たとえば、私の場合はこれまでかなり些細なことで予定変更パニックを起こしていました。
たとえば、天気予報で30度って言われてたのに実際には25度だったということで癇癪を起こして怒り狂ったり泣いたりしてました。

仕組みとしては、「パニックモード」という「脆弱なチャイルドモード」に分類されるモードになって、そのモードの私はとても困ってます。

あまりにも困っているので、どうしたらいいかわからず、逆切れして「癇癪」を起こします。

でも、ポイントは「困っている」というところです。

そこで、セルフモニタリングで自動思考の観察をします。すると、どういう風に困っているのか、具体的な言葉になって出てきます。

だいたいは「次にどうしたらいいかわからない」というようなことが理由で困っていることが多いことがわかりました。

「次にどうしたらいいかわからない」から困っているなら、「次にどうしたらいいか教えてあげる」ことで、困り感を減らすことができます。

具体的な対処法は、ただ癇癪を起すのではなく、「次に何をしたらいいかわからなくて困っている」と状況とともに人に相談することや、事前に準備できることなら、自分用の「ガイドブック」を作っておくことなどがあります。

こういう対処を重ねていくことで、予定変更があってもパニックにならずに、対処できるようになりました。

もちろん、予定変更は苦手なままです。苦手ですが、それが「困る」という程つよいモノではなくなりました。

まとめ

このように、スキーマ療法では、発達特性を特性とモードに分けて、モードに対してスキーマ療法的なワークや対処をすることで発達障害の人の困り感を減らすことができます。

スキーマ療法ができなくても、自分の発達特性を「中立的な表現」に変えるだけでも気持ちとしては楽になります。

発達特性と思われていることの多くは自分にとってネガティブな印象を与えるものが多く、そのせいで自己嫌悪になってしまうことがあります。

でも、発達特性だと思っているものは実は特性ではなかった!特性はもっと中立的だった!とわかると、「生まれつき癇癪持ちなわけじゃない」みたいな思考の転換ができるようになります。

発達障害の特性に悩まされているみなさん、ぜひ、特性を「中立的な表現」に言い換えるゲームをしてみてください!

サポートありがとうございます。みなさんのサポートは、スキーマ療法や発達障害、当事者研究に関する書籍の購入やスキーマ療法の地方勉強会、ワークショップ開催などの費用に充てたいと思います。