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あのときのこと

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なんとなく書き溜めた創作的な文章を小出しにしていきます。
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#立ち上がる

散歩

海のそばを、私はずっとつま先を見ながら歩いていた。2歩ぐらい先に歩いている彼の背中を視界に入れたら見つめてしまいそうで、視線が熱を持ってしまう気がして、見ることも眺めることもできなかった。彼もまた、後ろを歩く私を振り返ることなく、前を向いて「お前次第だ」とひとこと言った。 私は迷っていた。自分のやりたいことが一体どこでできるのか、前に進んでも道があるのかどうかわからない。そんな中、ずっと下を向いて歩いていたときに掛けられたのが、その言葉だった。 その言葉は、冷たいわけでもな