【人】ファンベース
ふじのくに関係人口創出シンポジウム2023
2024年1月27日@静岡産業経済会館
基調講演
コミュニケーション・ディレクター 佐藤尚之氏
「関係人口にこそ必要な“ファンベース”」
■情報が伝わらない時代
1)「発信すれば届く」は迷信
広く発信しても受け手に興味関心がないと「伝わらない」
なぜか。
情報が増えすぎたから。
広告メッセージは1日3000件、0.004%の情報しか届かない(2004年)
世界中の情報は2020年に59ZB
⇒サイトを作っても、メディアに出しても、SNSに投稿しても「届かない」。見てくれない。
おまけに自由時間(可処分時間)は2.6時間。これを奪い合っている。
ソーシャルメディアでの発信が効果的と言われるが、実はいうほど使われていない。
20%のコアユーザーが80%使っている。
SNSは万能ではない。ECサイトは19%のコアユーザーが売上の72%を占める。
また、日本市場を見ると、日本はネット後進国。デジタルリテラシーが低い。日本の15歳はデジタルの利用をしていない。
2)縮み続けるマーケット
日本は、人口で100万人、若者だけ見ても30万人ずつ年間減っていく。
20年後、生産人口は45%減る。
お客さんが減るということ。マーケットが減る。
3)需要が減り続ける。
高齢化でリピートしなくなる。高齢者は新しいものに手を出しにくい。
2035年には、人口の5割が独身になる⇒ステージの変化による新しい需要が生まれない。
また、選択肢が多すぎると買わない(自分の選択に自信が持てなくなるから=ジャムの実験)
★今までのマーケティングは通用しない。
信頼できる情報源は、インフルエンサーでも、専門家でも、有名人でもなく「家族や近しい友人」という調査結果が出ている。
■ファンベースとは
ファンを大切にして、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていくやり方。
ファン=企業やブランド、商品が「大切にしている価値」を支持してくれる人
商品の裏に流れている物~歴史、伝統、文化、風土、つながり、人~を支持してくれる人
しかし、今ファンは軽視されがち。新規をどうつかむかに注力している。
■なぜファンベースを始めた方がいいのか?
・時代:市場・需要がシュリンクする、情報過多
・売上:ファンが支えている。20%のコアファンが80%の売上を作る(パレートの法則)
・推奨:コアなファンは推奨してくれる。新しいファンを開拓してくれる。
例:カメラメーカー 購入⇒メール⇒ネットの交流⇒リアル交流
※カメラ好きの周りにカメラ好きはいる
■信頼度は有名人(14.4%)やインフルエンサー(7.9%)でなく(政治家なんて0.4%)、家族(65%)や友人(60.7%)から。(米国の広告会社が日本で調査した結果)
なぜか、家族や友人は「価値観が近い」から。
情報も商品情報も多すぎる時代、価値観の近い人(類友、家族)の言う事を聞きやすい。
家庭内推奨は親、特に母親。Z世代は母の意見を聞く割合が32.9%
■ファンは新規顧客を増やしてくれる。10人のファンには、それぞれ150人「類友」がいる。10人が1500人に伝わり、その10%が伝えたとしても2.4万人につたわり、また10%に伝わると38万人になる。
■ファンのファン度を上げる
一人のファンの後ろに150人がいる。類友はそのまわりにいる。類友の繋がりに「ファン」から伝えてもらう事。これを「マンメディア」という。
例:AirBは100人の大ファンに直接会って話を聞いた。喜んでもらうにはどうしたらよいかを愚直に実践した。
■ファンベースにおけるポイント=いいところを伸ばすこと。悪いところを改善するのではない。
ECで同封の冊子の見直しをする場合、コアファンに聞く。全部の顧客に聞くとだめになる。要するに多数決はだめ。それをすると商品特徴が陳腐化する。
■情緒価値をどう伸ばすか
情緒価値は商品特徴と違い、コピーできない。共感と愛着、信頼でできている。
ファンとユーザーの声は違う。
ファンはどこが好きなのかを突き止めよう。
■ファンベースはどこから始めるか
「どこが好きですか?」から始める。感情の部分はどこなのか、それはファンが知っている。
ファンミーティングをするといい。2人、3人でもいい。
【まとめ】
伝わらない時代、目の前のファンを見る。ファンを良く知り、ファンに愛されているところを伸ばす。
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