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3.機龍警察 暗黒市場
最初の数ページで拷問描写が出てきてこの先ずっとこうだったらどうしようとめげたけど、最初だけだった。でも、寝る前何度もこのシーンが蘇って辛かった。
今作もすごい傑作だった。毎回、前回と同等かそれ以上を叩き出してきて怖い。
姿、ライザに続き今回はユーリの過去編。3人の中で一番過去編が読んでてつらかった。第2章、ユーリが殺人の罪でとわれるまでかなり順調にロシア警察として進んでいくもんだから読んでいてつらかった。ユーリが殺人罪でロシアで追われていたことは1巻でわかっていたので、どんなに輝かしい過去があってもそれはあっという間に崩れ落ちることは決定しているので、読み進めるのがストレスだった。こんなにもユーリはまっすぐに生きようとしているのに。こんなにも神は彼に絶望を与え続けるのか!!とハラハラしすぎて、結局先に最後の1ページだけパラ見してユーリが生きているかだけ確認…(笑)
ユーリが生きていることを確認して、また安心して読むのを再開。サスペンスミステリーものとしては禁忌に近いけど、こんなにストレスを強いられるとよむのを諦めてしまうからね。最後、ハッピーエンド(少なくても主要キャラは死なない)がわからないとこの苦しみは乗り越えられなかった。
もちろん、読み終えてからは後悔したけど仕方なかったんだ…耐えられなかった。
痩せ犬の七ヶ条、最後の一つだけ教えてもらえなかったユーリ。読んでて絶対に最後に自分で導き出せるやつだーーー!!!ってすごく興奮したし、ちゃんと最後回収してくれていた。あと、1回すべて解ってから読むとまた違った味わいがあると思うのでもう一回読み直したいな〜!ミステリーの点と点が繋がる瞬間の興奮はミステリーの醍醐味だな。
最後犯人逮捕のときに、手錠を渡会警視に渡して渡会が手錠をかけるの涙ぐむ。物語のなかではみんな簡単に死んでいくけど、その死んでいった一人一人には人生があって、家族があるんだよな。安藤の凄惨な死がここで少しだけ報われたかもしれん。事件のあと、安藤の親御さんや妹さんにはこの事件に関わって殉職したことが伝えられるんだろうか。たとえ伝えられなくても、この大事件のあとなら自分の息子が、兄がこの事件のために殺されたのだとわかるだろう。だからと言ってなんだと思うが、それでもこの事件解決に関わっていたことがわかれば少しだけ落とし所が見つかるんじゃないかなと。そうだといい。
この小説は徹底したリアリティーとフィクションのバランスが絶妙なんだよね。警察ものもこの小説のおかげで大好きになってしまった。