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36.コンビニ人間
私は大衆娯楽しか読めない女なんだけど、それは芥川賞最年少受賞で一躍有名になった『蹴りたい背中』と『蛇にピアス』を呼んで、『蹴りたい背中』が全然意味がわからなかったから。最後、蹴ったのは、わかった。まだ、蛇にピアスのほうがわかりやすかった。
だから、そのあとは芥川賞は又吉の花火でさえも読んでいない。面白さが全然わからなかったかし、人の人生の一部分だけ切り取っただけの物語を面白いと思えなかったから。2004年の話だから今まで17年間純文学には触れずにきた。
だけど、Twitterで三宅香帆さんの『名場面読本』で『蹴りたい背中』を取り上げていて感心した。
というか、中学生のときに感じた私の人の人生の一部分だけ切り取っただけの物語という感想であってるんだ!!!それでいいんだ!ってなぜか興奮した。というわけで、今までの芥川賞の受賞作品の中で友達が「コンビニ人間面白かったよ!」っておすすめしてくれたのに、読まずにいたコンビニ人間を借りて読んだ。
めちゃ、良い。最後、恵子が違うコンビニに入ってコンビニの声を聞いて流れるように作業してしまうシーンがあまりにも美しかった。本当に感動するぐらい良いシーンだった。
能町みねこさんの結婚の奴でも書いたけど、結局人は人と繋がって生きていくほうがいいんじゃないかというのが、私の結論になってきていたんだけど『コンビニ人間』ではまさに恵子が、世間的にはクソofクソな白羽と偽装お付き合いを発表してからのほうが周りの人たちは恵子のことをようやく『こちら側』の人間として認める。散々悪口を言っていたのに、恵子が白羽と付き合っているというと一気に興奮するバイトメンバーたち。今まで、恵子の視点で語られていたバイトメンバーたちが実は恵子を異物として見ていたことがわかる。
私は、このあと恵子が自分が治ったと周りに思ってもらうために、白羽との同棲を続け、なおかつ就職してなんやかんやで生きていくのかと思ってたら…!!!!
嬉しい。嬉しかった。ホッとした。人との関係だけに望みを託さなくてもいいのかもしれない。異性愛による関係だけが救いではないかもしれない。
そんな気がした。他者に居場所を見出せなくても、他者が考える『普通』の枠にハマらなくても。コンビニに生きがいがあるならいいよね。
あと、芥川賞って2時間ぐらいで読める文量なんだとわかりました。本当に今までなにも読んでこんかったんだよね。
面白かったな〜!!!!!