楽しかったコンポストをしばらくお休みしている
以前、家庭用コンポストにハマっていた時期がある。我が家は残飯は全く出ない家庭なのだが、フルーツや野菜の皮は排出している。コーヒーの粉やお茶の葉っぱもそこそこな量が排出される。よってコンポストを使うことでゴミをかなり減らせていたように思う。
それでも私は、コンポストをお休みすることにした。
理由は「完成した栄養たっぷりの土の行き場がないから」である。
最初は、ベランダのプランターに完成した土を入れてルッコラやバジルなど簡単な野菜を育てたり、冬はビオラを咲かせてみたりと楽しんでいた。
しかし、狭いベランダで使う土の量などたかが知れているのである。
結局どんどん増産されていく土に困り果てて、コンポストを辞めることになった。
コンポストを販売しているお店で土を回収する取り組みもしてくれていたのだが、なにしろ土なので重い。かなりの頻度で土をお店まで運ぶことになるので、どうしても続けるのが難しくなってしまった。
さらにコンポストで作った土はかなり注意深く作っていても、暖かくなってくるとどうしても小蝿が湧いてくる。見た目としては完全な土になっている様子なのだが、やはり何か虫からすれば良い香りがする土なのかも知れない。
神奈川県の逗子市は来年の3月から生ゴミを燃えるゴミとは別で回収し、葉山町の生ゴミ処理施設で逗子市の分も一緒に処理していく予定だったのだが、設備の建設が間に合わないことが12月になって判明したらしく、生ゴミ回収開始が延期になったのだそうだ。
延期になったので、今後どうなるのかは全くわからないが、自治体がコンポストに取り組むというのは面白い動きではある。しかし家庭用生ゴミ処理の仕組みが昔よりは増えてきた今、生ゴミの回収よりも、各家庭でコンポストで生成された土を回収する制度の方が、先々ニーズがあるようにも思うのだが。しかし各人がどれくらいきちんとコンポストで土を作れるかというバラ付きが問題だと言われてしまうのかも知れない。
さらに、そうやってコンポストで作られた土は確かに環境に配慮されている取り組みなのだけれど、その土を使って栽培した野菜などはオーガニックとはいえない。なぜならコンポストに入れたものがオーガニックではないものならば、完成した土は農薬たっぷりな皮部分の濃縮の結果となるからである。
コンポストは、仕組みそのものは面白かったし、たとえばバナナの皮なんかがあっという間に土に還っていくのをみるのは楽しかった。そして土になってしまえば生ゴミ特有の臭いもしない。多少の手間はかかれど、それを補うようなメリットはあったのだ。
ただ、完成した土の行方だけが、問題だった。土は燃えるゴミにも枝葉の庭木ゴミにも捨てられない自治体が多いようなのだが、全国のコンポスト愛用者の皆様の家にはもれなく広大なお庭があるのだろうか。
もしもいつかゴミ回収の日に「燃えるゴミ」「生ゴミ」「コンポストゴミ」という分類になる時がきたら、きっとコンポストを再開すると思う。