
心を満たす時を発掘する生き方
私は一体、どう生きたいんだろう。
壮大過ぎてあまりにも根本的な問いなのだが、非常に重要なことに感じているので、自分の生き方や在り方について、ずっと考え続けている。
思いついたかのように、時々、自分の中を棚卸しして情報を書き出してみたり、いろいろなメソッドを参照しながら自分について検討してみたりしているのだが、なかなかこれだというところに着地できない。
しかしようやく昨日、その端が掴めたような気がした。
読書が好き、映画などの映像作品も好き、現代アートも古典的な美術も好き、美術館やギャラリーに行くのが好き、好きな作品の作家さんとお話しさせていただくのが好き、尊敬できる人たちに出会うことが好き、コーヒーを自分で焙煎するのが好き、ピアノを弾く時間が好き、動物が好き。
こうやって好きなことや興味があることをどんどん書き出していった時、ふと「私は毎日、新たに感動したい」と思っていることに気がついた。
「感動」というとやや大袈裟なように思えるのだが、ここでいう私の感動には、文字通りの号泣するような大きな感動から、日常にあるささやかな感動までが含まれている。小さな感動も、私の人生に幸せをもたらしてくれるものであり、私にとっての「感動」とは「心が満たされて動く」瞬間である。じんわりした優しい感動もあれば、雷に打たれたような衝撃のある感動もある。大きな感動は年間で数えるほどしかないかもしれないが、小さな感動ならば、もしかしたら意識的に生きられれば毎日少しずつ出会い続けられるのではないだろうか。
私が求めている「毎日新たに感動する生き方」というのは、ちょっとした感嘆符がついた発見の瞬間がある時間であり、それらは「ポジティブな感嘆符」である。びっくりすれば、なんでも良いわけではなく、困った感嘆符のビックリマーク3連続!!!なんていうのは求めていない。
「ポジティブな感嘆符」は、「わあ!」という息が漏れると同時に出てしまう音と相性が良い。
この「わあ!」というものを、毎日たくさん集めたい。
「わあ!綺麗な夕焼け」
「わあ!今日は富士山がすごく綺麗に見える」
「わあ!こんなところに素敵なカフェがあったのね」
「わあ!この本を読んでよかった」
「わあ!この芸術作品はなんて素晴らしいんだろう」
「わあ!老犬と一緒にいるとこんな可愛い一面も知ることになるね」
これらはもしかしたら、他のイライラしたり疲れていたりすることに気を取られ過ぎていると、気がつけないまま過ぎ去ってしまうものかもしれない。けれども探してみようとちょっと意識すれば、気付けるものが少しずつ増えるような気がしている。
日常の小さな感動は、今日を生きていることを肯定してくれる。
そんなことをして何の役に立つのか、と考えそうにならないわけでもないのだが、実は日常の小さな感動があればよかったのにと、かつて心が落ち込んでしまって悲しみの病気になっていた自分に言ってあげたかったのだと気がついた。あの頃の自分を強制的に救ってくれたのはピアノであり(私は大学は音楽科だった)、それは大学をなんとか修了せねばという義務感から真面目に取り組もうと必死だっただけなのだけれど、それでも実は私の根っこの部分には「ピアノは私を感動させてくれる道具なのだよ」という声があったのだ。そのことに、何十年も経ってからようやく気がついた。あの時、私にピアノがあってよかった。ピアノがあることで、家賃も上がるし、時間もとられるし、普通の社会人になるための準備に一切気がまわらず、そもそも普通の社会人が縁遠過ぎて就活ってなんだろうなと思っている間に卒業と修了と博士後期への進学になってしまったし、もしもピアノに出会っていなかったらもっと違ったすごいバリバリの仕事人になっていたりしたのだろうかなんて想像する時もあったのだが、今になって思えばそもそも私は人生でバリバリのオフィスワーカーになりたかったわけでもないのだから、他のことをしていたっていずれは本来の自分の人生の目的とも言える「毎日新たな感動」を探し出すというルートに戻っていただろうなとも思うので、一周回って私はあの時私の感動の根にあるピアノに救われていたのだ。もちろんオフィスワークをしていても感動は見つけられるとは思う。だが私が必要としている感動は「文化芸術」や「自然」(自然も芸術の一部のように感じている)に関連したものなのだろうなと最近漠然と見え始めてきた。
この上の記事の時に
ああ、生きるというのは、自分の中の文化を育てることなのかもしれない。
私は私だけの色と形をもつ文化の花を咲かせようと、毎日必死に考え、学び、表現し、誰かに決めつけられた価値観ではない自由な花に育てようと躍起になっている。
と気がついたように、つまりは私は自分の中に文化を育て、花を咲かせ、磨き、練り、それらを材料として醸成される何かから感動を得たいと思っている。
私は感動を食べる生き方をしたい。
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