紫キャベツ地位向上のひとり草の根運動
スーパーで紫キャベツを頻繁に買っている。
きっかけは我が家の老犬のご飯を完全手作りに切り替えた際に、老化していく目のために少しでも良いかと紫キャベツを使うようになったことだったのだが、ここ1年くらいは私もせっせと紫キャベツを食べている。
お気に入りの食べ方はシンプルに千切りキャベツ。
サラダに入れると紫色が鮮やかで、トマトの赤、パプリカの黄色、レタスの緑と一緒に盛り付ければとても華やかなサラダボウルを簡単に作ることができる。
しかし目下の悩みは値段である。
紫キャベツは通常の緑のキャベツよりもお値段が高い。
それでも私はいつの日か緑のキャベツと同じような値段で同じような流通になることを願って、地道に買い続けている。
紫キャベツは、どう食べたらいいのかわからないという人も多いのか、緑のキャベツと比べて量が売れないなどの理由なのか、まだまだ野菜コーナーの主力商品ではないのかもしれない。
しかし、私は同じように、たくさんは売れないけれど地味に需要があったものが、数年後に地位が格段に向上した事例を目の当たりにしたことがある。
その商品は「豆乳ヨーグルト」である。
昔は高かった。
豆乳ヨーグルトはちょっとした贅沢品。通常の牛乳から作られるヨーグルトの方が断然安かった。
しかしなんと今や、牛乳のヨーグルトとの値段は多く見積もっても30円から50円ほどにまで縮まり、商品数も増え、躊躇なく豆乳ヨーグルトを選択できるようになった。
紫キャベツも、豆乳ヨーグルトのようにならないだろうか。
含まれるビタミンなどの栄養価は緑のキャベツより約1.5倍も高いと言われる紫キャベツ。
確かにロールキャベツには向かないかもしれないし、他の食材と一緒に炒めたりすると色移りもしやすい。一枚一枚の葉の柔らかさも緑の方が薄くて柔らかいので料理アレンジがしやすいのかもしれない。けれど毎日ロールキャベツでもあるまいし、色移りもよほど豆腐のような白いものと一緒にしない限りは、そこまで私は気にはならない。
それよりも何より、ただ千切りキャベツにしただけでお皿に一品鮮やかな紫色を添えられる。お手軽である。
生で食べるのが苦手な人は細切りにしたものをマリネ等にすると、オシャレなデリカテッセンに並んでいそうな一品ができるだろう。
そしてついに今、季節はキャベツの旬を迎えつつある。
いつもより少しだけ安くなっている紫キャベツを、ここぞとばかりに買い、いつも以上にもりもりと食べている。
紫キャベツがメジャー商品になったからといって私に特別なメリットがあるわけでもないし、そもそも食べ物にあまり興味がないので、実際そんなに思い入れもないのだけれど、ただなんとなく、同じキャベツなのに色が違うだけであまりにも違い過ぎる扱いを受けている2色のキャベツを見て、しかも実は紫キャベツの方が栄養価が高いという事実も知ってしまうと尚更不当な扱いに甘んじている紫キャベツに思うところが出てきてしまい、地味に買い続けるというだけの草の根運動を勝手にひとりでやっている。
今日も紫キャベツはスーパーの棚で細い一列にほんの少しだけ陳列されていた。
緑のキャベツは横五列のメインの場所でぎっしり並んでいた。
今はきっと紫キャベツの魅力に多くの人が気がついていないだけ。
数年後にはきっと・・・。