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冬は瞑想シーズン
夜ベランダで瞑想するのが好きだ。しかしこれは冬しかできない。
この寒空の真夜中に外で瞑想するだなんて、頭がおかしいんじゃなかろうかと思われるかも知れないのだが、異常に蚊に刺されやすい私は春が過ぎて外でぼんやり止まっていようものなら1分と持たずに10か所以上刺されてしまう。夏はベランダに洗濯物を干すとき、取り込むときと、1日に2回も蚊と戦うタイミングがやってくる。我が家のベランダからは花火も綺麗に見えるのだが、蚊に愛されてしまうがゆえ、粘っても3分が私の花火鑑賞時間の限界である。
つまり、心置きなく長時間外で過ごせるのは、冬しかない。しかも紫外線アレルギー持ちな私は冬でも侮れないので、昼間は恐ろしくてベランダで日光浴なんてしていられない。つまり長時間ストレスなく外にいられるのは、冬の夜なのだ。
さあチャンス到来。私はこの季節を毎年指折り待っている。
私は寒さにはめっぽう強いらしい。夫は毎日寒い寒いと言っているが、私にはどこをどうしたら寒いのだが全く理解してあげられない。私の体温は生まれつき低い。冬場の平熱は34度なので、どうやら外気温と私の体温の差が普通の人間より少ないからなのか、他人よりも寒いと感じない体質らしいのだ。去年は非常に体調が良かったとある冬の日の体温が33度だった。一般的な人体の体温から言えばそろそろお亡くなりになりそうな体温なのだが、私はスキップしてどこまでもかけて行けそうなくらい体調が良い時が33度であったので、その体温計の数字を見た時にもういい加減一般的な人間として生きるのは諦めようと思った。いやもちろん体温が低くて体調が悪い方は温活でも何でもしたらいいと思う。けれども私は体温が36度を超えると顔が真っ赤になり熱っぽくぼーっとして具合が悪いのだ。36度台後半になろうものなら寒気と熱感のオンパレードでもはや寝込んでいる状態である。夏の平熱は35度台。冬は34度台。とても寒い日は33度。どこぞの医学的偉い人たちにも、そういう人種もいるということを理解してもらいたい。
さてそんな冷血女の私が心から幸せを感じる冬。12月の満月の夜中に目が覚めたので、いそいそとベランダに出て座る。一応、コートと膝掛けは用意した。スマホが言っている外気温は7度。実に心地よい。
1時間ほどたっぷりと満月を浴びながら瞑想する。このまま何時間でも瞑想を続けられそうだったが、流石にもう寝ないと朝になってしまうなと思い、一区切りして室内に入る。
とても良い感じに体の芯まで冷えていた。この冷えた感覚が私に幸せを感じさせてくれる。夏には毎年絶望しているのだが、この冬の冷たさを身体中に染み込ませると、何とか今年も生き延びられて良かったと思う。そしてあっという間に春がくることを恐れて、毎日毎日体の奥の方まで冷気を必死に取り込んでいく。私の体の奥底が氷室のようになっていてこの心地よい冷気をずっと保管できたらいいのに。
寒くて体調が良いからなのか、はたまた12月の「コールドムーン」の満月が特別だったのか、この度の満月は本当にエナジーが強く感じられた。体の隅々まで心地よく力強い何かが行き渡り、一呼吸ごとに幸せが溢れ出してくる感覚を味わった。
寒いこと。それは幸せ。
寒いこと。それは喜び。
芯まで冷えた私が布団に入ると、先に私の枕を占領して人間のような姿で体を布団にくるんだ我が家の老犬に、とてもいなや顔をされた。我が家の17歳の老犬は寒がりである。
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