34.「令和の白拍子」清く、正しく、逞しく〜宝塚音楽学校ライフ(予科生編⑤)
令和の白拍子こと、花柳まり草こと、まりちゃんです。
コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にある今日この頃です。 皆様、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
前回から、宝塚音楽学校生の1日の様子についてご紹介しているのですが、なかなか盛り沢山の内容となり、一回でご説明することが出来ませんでした。
強烈な眠気と戦いながらの授業中・・・様々な所業を繰り広げていた当時の様子を面白がってくださる方が沢山いらして下さいました!ありがとうございます。
今も眠気と戦うことはございますが、あの時ほどの強烈な眠気が襲ってくることはありません。笑
本当に眠い時、人間はこの様な所業を繰り広げるのだなぁ・・・と同期を見ながら冷静に観察することもしばしば。(←性格が悪い)
今日はそんな「居眠りネタ」を掘り下げつつ、続きを書いていきたいと思います。
それでは、はりきって参りましょう!
■武庫川の1日〜休憩中の軍事戦略会議
前回の記事でも書いたとおり、私たち「予科生」は、朝の決まった時刻に一斉に登校し、学校に到着しましたらすぐにお掃除を開始致します。
学校生活に慣れるにつれ「まりちゃんの脳味噌は80%くらい寝ているけれど、身体は勝手にお掃除をしてくれる」という恐ろしい技を身につけていきました。
そんなお掃除タイムが終わったあとの授業では、
バレエ、モダンダンス、タップダンス、声楽(クラシック、ポピュラー、音の訓練、楽典)、合唱、演劇、日本舞踊、お茶・・・
と様々なレッスンが待ち受けており、合間の休憩時間では《制服→レオタード→着物→制服》という風に、お着替えも致します。(舞台で必要なスキル、「早替わり」の練習だったはずです。多分)
しかも、教室から控え室に戻る時に運悪く本科生の皆様と遭遇してしまい、かつ「武庫川ルール」に反する様な「失敗」をしでかしてしまったら、どえりゃあ大変な休憩時間となりました。
こちらがやらかしてしまった「失敗」は、本科生の皆様全員の耳に瞬時に知れ渡ります。「予科ルーム」いわゆる「予科生の戦闘キャンプ」では、着替えの手を止めることなく「軍事戦略会議」が行われる事になります。
今後想定されるガクブルな事態、それらに対応するための「傾向と対策」、同期全員への「情報共有」・・・こうした「軍事防衛対策」に時間が割かれると、短い休憩時間はさらに短くなっていきました。
軍略会議もすませ、お着替えも済ませ、廊下ですれ違う本科生の皆様を無事にやり過ごし・・・様々なミッションをクリア出来てから、ようやく予科生軍は次の授業のお教室に辿り着くことが出来るのです。
「あぁ、この時間まで無事に生き残れた」
そう安心するのも束の間、今度は急激に襲ってくる手強い奴らとの戦いが待っておりました。
そう、睡魔たちです。
■武庫川の1日〜武庫川狂夢睡魔戦(むこがわきょうむすいまのいくさ)
無駄に歌舞伎風なタイトルをこさえてみましたが、本当の戦いの相手は、本科生ではなくこの睡魔たちでした。
高い倍率の受験を潜り抜け、親に頭を下げて学費を出してもらい、実家を離れて寮住まいをしている私たち。それもこれも、宝塚音楽学校の授業を受けることで自己を磨き、舞台で通用する人間になるためです。
そのためにわざわざこんな辺鄙な武庫川のほとりに住んでいるというのに、容赦なき睡魔軍はそんな決意を打ち壊すべく、大挙して我らに襲いかかってきました。
一回一回の授業を真剣に受ける!!!
そんな固い固い決意が、飴の様に溶かされていくのです。
人間という生き物は本当に眠くなりますと、何をしていても、どんな体勢でも、何かを持っていても、瞬時に夢の国に送還されてしまうのです。
「この一回の授業くらい、安らかに眠ったって良いじゃないか」
「ここで意識と魂を手放したら、と〜〜っても楽になるよ」
・・・そんな睡魔たちのささやき。
そんな彼らと、まりちゃんは必死に戦いました。
座学の授業であれば、鉛筆を手の甲や掌にぶっ刺しました。踊りの授業であれば、身体のどこかしらを必要以上にぶっ叩きました。つねったりもしました。心の中で、好きなスターさんの名前を念仏の様に唱えたりもしました。
しかし、その戦いに無残に敗れ去ることもしばしば・・・。
前回の記事でもお話ししましたが、人生で初めて「歌いながら寝る」という訳のわからない所業に及んでしまったりもしました。
自分の寝顔は見ることが出来ないのですが、睡魔軍との戦いに敗れて夢の国に送還されてしまう同期たちの寝顔を見ることも沢山ありました。
睡魔軍と戦う同期たちを冷静に観察していると、いろいろな惨敗パターンがありました。
とある同期は、寝てしまったかと思うと急に起き出します。しかも自分が眠っていたことさえ分からない朦朧とした状態なので「私、今まで起きてました」みたいな様子で振る舞うのです。寝落ちから復活するまでの流れが一番面白いのはこのパターンでした(←すみません。私、性格が悪いです)。
かと思うと、無駄な抵抗はせずに、自ら夢の国に飛び込む子もいました・・・。覚悟を決めたのでしょう。とても安らかな顔をしていました。
人の寝顔は本当に千差万別です。まさに、昼の顔と夜の顔。
とっても可愛くて、美しい同期ばかりなのですが、寝顔にパンチのある人も沢山いました。例えば、首で頭を支えておくことが叶わず、完全に天井を向いてしまう同期もました。なんというか「新種の動物」の様でした。パンチはあるけど、これはこれで可愛いから何かズルイなって思いました。
ちなみに彼女は上を向いたまま、完全に口を開けて寝てしまうのです。天井に向かって大きく開かれた口に食べ物を入れたらどうなるかと、みんなで悪ふざけをしたこともありました。
他人の顔を観察していた性格のわるまりちゃんも、時として白目を剥いてしまったり、ヨダレを垂らしてしまったり、すごい顔つきで惨敗していた時が沢山あります。
流石に寝言は言っていないと思うのですが・・・(同期たちよ、私大丈夫だったかな??)
この経験から、いくら偉い人でも雲の上の人でも、その人の寝ている姿を想像すると「人間、結局はみんな同じ。哺乳類なんだよなぁ・・・」と勝手に親近感を感じることが出来る様になりました。何の役に立つかは分かりませんが、皆様も是非やってみて下さい。
色々な失敗も無駄にしてしまった授業も沢山ありましたが(コラ)、それだけ生命エネルギーの全てを注ぎ込み、打ち込むことが出来た日々だったということで!無理矢理いい話にまとめようとしておりますが、こんな漫画みたいなドタバタな経験をさせて頂けて幸せだなぁと思います。笑。
同期の寝顔、本当に面白かったなぁ!!!(←性格が悪い)
さ、というわけで本日はこれ切り・・・是非、次回も逢いにいらしてください♪
ドタバタ武庫川ライフ、続きます!!
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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