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お月さん
京都人は月に対する思い入れが殊更強いように思います。
母は月を見ると必ず、
「月々に月見る月は多けれど、月見る月はこの月の月」
このうたを詠んで拝んでいました。
三日月であろうと半月であっても、月がこうこうと輝いていれば、手を合わせて拝むのです。
月末、新しい月に日付が変わってから、誰とも口を聞かず朝起きたら、
月々に月見る月は多けれど「金」見る月はこの月の月。
三回唱え枕を抱えて、
「千両箱担いだ」
これを唱えられた月は忙しい。
そんなおまじないもしたはりました。
そんな母を見て育っておりましたから私もマネしておりました。
簡単やろと思われるかもしれませんが意外と難しおして、
夜のお商売をしていますと、日付が変わってから人と口を聞かないのは至難のワザ。
「験担ぎ」と思いますが、唱えられた月は忙しいように感じますから不思議どす。
陰陽道では、太陽は陽で男性を表し、月が陰で女性を表すと言われていますから、
女性中心の我が家、月を拝むのは自然な行為やったのかもしれませんね。
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