メンタルヘルスサポートの探し方【前編】
はじめに
メンタルヘルスに不調や問題を感じた時は、「早く」「適切な」サポートを受けることが大切です。でも「どのようにして自分に合ったサポートを見つけて良いか分からない」という声をよく聞きます。今回は、サポートの探し方について、前後編の2回に分けてお話します。
前編のテーマは「カウンセリング(精神療法)の探し方」です。
①カウンセリングを提供する専門職種
カウンセリングを提供する専門家にはいくつかの職種があり、それぞれに特徴があります。ご自身に合った専門家を探しましょう。
【精神科医】
メンタルヘルス不調に対して診断と治療を行う医師。薬物療法や精神療法(カウンセリング)を提供し、精神疾患全般に対する治療を行う。
特に薬物療法が必要な場合は精神科医の診断が不可欠。
お薬の処方ができるのは日本では医師だけとなっている。
利点:
医学的な診断と治療が受けられる(血液検査なども可)
薬物療法が必要な場合に適切な処方ができる
重篤な精神疾患にも対応できる(入院治療や精神科救急など)
欠点:
外来が混雑しており予約が取りづらい・待ち時間が長い
診察時間が短く(5-15分)、十分な面接時間が確保できない
上記の理由から、薬物療法にかたよってしまう可能性がある
【公認心理師・臨床心理士】
「公認心理師」は2018年に開始された、比較的新しい心理職の国家資格。それまでは「臨床心理士」という民間資格(1988年より認定開始)が事実上の公認資格となっていて、臨床現場ではどちらも心理職の専門家としてみなされる。いずれの資格も大学院修了(修士過程)レベルが必要であり、高度な訓練を受けた心理学の専門家。
*公認心理師は大学院に行かずに受験資格を得られるルートも存在する
参照:
公認心理士受験資格
臨床心理士受験資格
利点:
しっかりと面接時間を確保できる(30-50分程度)
個別カウンセリングやグループセラピーなどバリエーション豊富
ストレス管理や人生観など、疾患だけではない幅広い問題に対応
欠点:
診療報酬が保険適用外の場合が多く、自費診療となる
お薬の処方はできない
【カウンセラー】
基本的には民間資格。認定心理カウンセラー、臨床心理カウンセラー、ライフコーチなどさまざまな資格があり、資格取得に要する条件や難易度も幅広い。選ぶ際には、その資格やトレーニング内容を確認して自身に合ったカウンセラーを探しましょう。
利点:
比較的リーズナブルな料金で相談できる
メンタルヘルス不調や疾患だけではない多様なアプローチがある(ライフコーチ、産業カウンセラーなど)
欠点:
資格やトレーニング内容にばらつきがある
医学的な診断や薬物療法は提供できない
その他にも、メンタルヘルスサポートに関わる専門職種は
・精神保健福祉士(PSW:Psychiatric Social Worker)
・作業療法士(OT:Occupational Therapist)
など、さまざまな職種があります。メンタルヘルス・精神科治療に関わる多職種チームや専門家については、また別の機会にお話します。
②カウンセリングの提供方法
対面とオンライン、それぞれ長所と短所がありますので、ご自身に合った方法を選んでみましょう。
【対面カウンセリング】
医療機関(病院やクリニック)、カウンセリングルームなどで実施。
利点:
医療機関であれば医師や看護師などと連携した治療が提供できる
適切な治療環境(カウンセリング室)のもとで受けることができる
欠点:
通うのに手間や時間がかかる
選択肢が限られる
【オンラインカウンセリング】
パソコンや携帯があれば自宅から受けることができる。
利点:
地理的な制約がなく、通う手間や時間を必要としない
オンライン上に多くの選択肢がある
欠点:
インターネット接続の不安定さ・技術的なトラブルが発生するリスク
家族や同居人がいた場合、完全なプライバシーが確保しにくい場合がある
おわりに
今回は、メンタルヘルスサポートの中でもカウンセリングに焦点を当てました。でも「カウンセリングはちょっとハードルが高い・・」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。次回は、ご自身でできる情報収集や、オンラインリソースの活用などについてお話します。