空いた場所があったので
休んでいたら
そこはわたしの場所だ
看板が見えないか
と言われて
歩きだし
また空いた場所があったので
腰を下ろして水を飲みながら
夕焼けを見ていたら
そこはわたしの場所だ
不法侵入だ
と言われて
ふたたび歩きだし
日が沈み
木に登って休んでいたら
わたしの木だ
いますぐ降りなさい
と下から声がする
木が
わたしは誰のものでもありませんよ
あの人なに言ってるんでしょうね
と呟き
幹に空いた穴のなかへ入れてくれた
朝が来たら
空に雲がとどまっていて
わたしを送り届けてくれた
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