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津雲邸

2月に入り、日本各地でひな祭りが始まっている。
コロナ禍で中止となったところもあったが、
今年は3年ぶりの何の制限もないひな祭りの季節を迎えている。
二木屋ではコロナ禍でもとにかく例年と変わらないひな飾りを続けてきた。
よく言われるように、ひな人形は出したり仕舞ったりするのが大変であり、
それは個人宅でもレストランでも博物館でも同じである。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されると、ひな祭りをやってもなかなかお客様はいらっしゃらない。だとしたら、飾るのを控えたり中止にしたほうが、余計な手間(経費)もかからないわけだが、かなりの分量を飾るのにはコツがあり、人海戦術が必要であり、1年でも休んでしまうと、もう二度と飾ることはできないという根拠のない確信が私にはあったので、ずっと二木屋ではひな祭りを開催してきたのである。

うれしいことに、東京の青梅市にある津雲邸も、例年と変わらないひな祭りを開催している。かつての政治家(津雲國利:1893-1972)の別邸だった邸宅で、2021年に国登録有形文化財に登録された。季節の室礼の調度品も数多くあり、二木屋と類似点も多いので、以前から親近感をもっていた。
(写真は許可を得て撮影したものです)

津雲家の蝶の家紋

とくに雛人形のコレクションは素晴らしく
江戸時代後期の有職雛、その中でも小直衣をまとった貴重なお雛様の他、次郎座衛門の立雛、江戸時代に流行った七澤屋の極小雛道具などを所有している。

有職雛の段飾り

有職雛の段飾りは京都のスタイルで、五人囃子ではなく楽人のお人形である。この段飾りのひな人形は明治に入り頭を作り変えているそうで、元の頭も展示されていた。

これらのひな人形がただ飾られているのではなく、文化財の建物の中でしつらえられているところが、津雲邸のひな祭りの一番素晴らしいところである。

その人形のグレードにふさわしいところに飾るのが一番そのお人形は映えると以前きいたが、まさに津雲邸のひな人形は令和になっても一番いいところに居場所のある、幸せなお雛様だとあらためて思った。

次郎左衛門の立雛



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