倉敷は バリアも魅力の 伝建地区 |2024.大雪・閉塞成冬
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
「師走」に言い訳をしながら、すっかりnoteの更新が滞ってしまっている。かろうじて週に一本は書き続けているけれども、季節としてはもう全然追いついていない感。
年末には落ち着くはずなので、新年に向けて季節は調整するとしてしばらくは「振り返りnote」になりそうです。
季節は「大雪」とはいえども、そういえば昨年の倉敷の冬は12月のこの時期に雪がパラパラと舞っただけだったように思う。
車を運転する人たちも、倉敷市内から東へ岡山市あたりまで北は総社市や矢掛町あたりまでしか行かない人は、スタットレスタイヤも持っていない。まぁ、そもそもわたしは車の免許さえ持っていないのだけれども(笑)
とにもかくにも、倉敷では雪が積もらないというわけ。だから、そういう意味でも自転車や公共交通機関のみで移動をしていても、大雪での交通麻痺に遭遇せずにここまで過ごしてきた。
仙台で暮らしていた小学生時代は上下スキーウエアを着て登下校していたし、北九州に暮らしていた頃も、年に一度は大雪で通学にえらい時間をかけた記憶がある。そんな中、わたしが暮らしてきた5都市(青森市・仙台市・東京都23区・加東市・北九州市)のなかで唯一大雪被害がなかったのが、倉敷市。
「クリスマスくらいは一瞬雪が積もってくれたら風情たっぷり」とも思わなくはないけれども、雪がないことで日々は過ごしやすいとも思う。一日中雨の降る日も少ないし、本当に自転車生活がはかどる #くらしきで暮らす 日々。
自転車生活が一番大変だったのは今のところ、猛暑だった夏くらいかもしれない。
さて、この冬は大寒波がやってくるのだとか。やっぱり、倉敷も雪が積もるのかしら。
おもてなしマイスター研修【建築というバリアについて考えてみよう】受講記録
倉敷市地域おこし協力隊になって数か月。取材やご挨拶に行く先々で「障がいのある方とじっくりお話ししたのは初めてです」と言われる日々。
それと同じくらい、倉敷美観地区の人たちと話をするたびに「聴覚障がい者が身近にいないから、何に困っているのか分からない」「困りごとを言ってくれれば、改善したい気持ちはあるのだけれども」なんて話をよくされる。
その中でとても興味深かったのが「倉敷美観地区にはおもてなしマイスターがいるんだから、困ったらおもてなしマイスターに相談してみなよ」というアドバイス。
おもてなしマイスター?????
となったわたしは、協力隊一年目の活動のひとつとして、おもてなしマイスターの資格を取得することにした。
今回は、6月17日に開催された【建築というバリアについて考えてみよう】のレポート。
倉敷美観地区は、ハード面のバリアを解消しにくい地区
倉敷駅から徒歩数分に広がる、蔵や町家が並び石畳の道が風情ある倉敷美観地区。
この倉敷美観地区は、伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)と呼ばれる蔵や町家のある町並みを守り続ける地区。そのため、景観や文化財の保護が求められている。つまり、ハード面の大幅な改修が難しい地区。
「建築のバリア」は倉敷美観地区の魅力の要素
「バリア」と目にすると、なんだかマイナスなイメージを持ちがちな人もいるのではないでしょうか。だって「バリア」は「フリー」にしないといけないんでしょう?
でも、町家は、高さ(段差)や奥行きで外のお店部分と居住スペースに「バリア(壁)」を設けてきた歴史のあるもの。これらは、社会的な慣習として必要だったもので、伝建地区として後世にその社会的慣習を伝えるために「あえて残しておきたい」段差も存在する。
つまり、倉敷美観地区の時代性を伝えていくにあたって、上がり框や敷居はなくてはならないもの。
だからこそ「おもてなしマイスター」が必要な倉敷美観地区
こういった背景を踏まえ、ソフト面でのアプローチすなわちおもてなしできる人材である「おもてなしマイスター」が求められるのだとか。
国土交通省のガイドラインでも「ハードとソフトの両面からバリアフリーに取り組むこと」が推奨されているそうで。
障がい者割引とおもてなしマイスターと、それから……
かの有名な夢の国は、つい数年ほど前まで入園パスポートに障がい者割引価格が設定されていなかった。
理由のひとつは「障がいのあるゲストがパークを訪れた際にも健常者と同様のサービスを提供する自信があるから」だったと聞いている。
実際に聴覚障がいのあるわたしがパークへ入場すると、障がいのあるゲストには【ゲストアシスタントカード】というカードが手渡され、入場の待ち列に並ばずにアトラクションに乗れたりアトラクションの音声を文字化したシナリオをもらえた。
待ち時間が短くなるのは、待ち列で流れているBGMや音声放送などのコンテンツを健常者と同様に楽しめないから。シナリオはいわずもがな、音声が聴き取れないからそれを保障するため。シーには手話のできるキャストも存在したため、手話通訳付きでショーを楽しむこともできた。
が、そんな夢の国もついに障がい者割引制度を導入した。きっかけのひとつは、新型コロナウイルス感染症の対策を通してソフト面でのサービスに限界が生じたこともあると聞いて納得。
つまり、障がい者割引は【健常者と同等にサービスを受けられない分の差し引き】のような存在だと思って使わせてもらっている。
実際に、健常者だと2,000円近くかかる施設に障がい者割引で無料で入場した際に、その施設にある音声メディアがひとつも楽しめなかったとしても「まぁ、無料でこの施設を体験させてもらったんだしな」と折り合いが付く。
でも一方で、健常の人と同額の入場料を支払ったのに入ってみたらほとんど音声展示ばかりで全然分からなかった、という場合はなんだかとても損した気持ちになる。
はて。「おもてなしマイスター」が夢の国のようにそれを補うような大きな役目を担っているのであろうか。そうならば、それはそれでおもしろいなと思う。
倉敷美観地区の観光施設は、聴覚障がいのあるわたしからみても「バリア」は多い。今回の学びを通してそのバリアの必要性もよく理解した。
おもてなしマイスター、障がい者割引……景観や段差を残しつつもさまざまな人が観光しやすい倉敷美観地区であるために。どんな思いで入場料の設定やおもてなしマイスターの活用をしているのだろうか。
少なくともわたしはまだ、まち歩きのなかでマイスターに出会ったことがない。いや、あるのかもしれないけれどもまだまだ感度が低いだけなのかもしれない。人々がわたしに会って「障がいのある方とじっくりお話ししたのは初めてです」と言うように。
「障がい者割引の有無」ばかりをソフト面のバリアフリーだと捉えていたわたしがおもてなしマイスターになることで、きっとマイスターへの感度は高まるだろう。
これから先、わたしはどんな景色を見られるようになるのだろうか。
とっても楽しみ。