聴覚障がい者×倉敷市地域おこし協力隊と台風10号|2024.処暑・天地始粛
聴覚障がい者×倉敷市地域おこし協力隊と台風10号
2024年8月終わりの一週間は、台風10号に翻弄された。
倉敷に移住してきてみて思うのは、とにかく自然災害が少ないこと。まず、揺れない。生まれ育った東北も中高時代を過ごした九州も、前職時代の関東も程度は小さいにしてもよく揺れた。
震度3くらいまでなら日常茶飯事。
それでも、東日本大震災の翌年に東北は宮城にある国立大学に進学したわたしにとって、地震や津波は比較的身近なものだった。震災遺児と呼ばれる親を亡くした同級生専用の寮があったり被災地の子どもたちに学習支援をするサークルが複数あったり。
もちろん必修講義で防災教育を学んだし、教員時代も子どもたちと文化祭の出し物で防災ワークショップを開催した。だから、防災グッズは当たり前に常備しているし我が家には高い家具はないし、転倒の危険がある家電には耐震グッズを付けている。
それでも。被災地のリアルを目の当たりにして、実際に被災した友人の話をたくさん聞いて、自分自身も大きな揺れを経験して、自然災害に対して過剰にビビりな性格になってしまったような気がする。
倉敷市街地は、ハザードマップが真っ赤
だから、倉敷に移住するにあたってお家を探すときにもまず開いたのはハザードマップ。わたしは車をもっていなくて市役所で定期的に会議があるので、倉敷駅までの便の良い場所を条件に家を探していた。
でも、倉敷駅周辺のハザードマップは真っ赤。
倉敷は地震や津波の心配こそないけれども、大雨のときに浸水しやすい地域なんだとか。それは、倉敷美観地区がもともと干拓地だったことも影響していると思う。その昔は、阿智神社から児島地区までは船で移動していたんだそう。
そんなわけで、倉敷駅に便のいい場所×ハザードマップが赤くない地域を探すことは困難だと判断して、赤いけれども河川からは距離があって2階以上の物件から現在の家を契約した。
大雨・洪水のときに孤立しても生きていける備えを
とはいえども、自然災害ビビりのわたしは防災グッズを備えていないと安心できない。関東にいた頃は
・発災後すぐに避難所に行ける身軽な防災リュック
・避難所生活が長引いたときにもう一度取りに帰る大きめの防災バック
の2種類を用意していた。わたしは仕事柄発災後すぐに職場へ行かないといけなかったので、一つ目は玄関に。避難所生活が長引いてもこちらはスタッフ側なので食料が尽きたら避難者が優先だし、ずっとスタッフをしていたら糖分だって摂取したくなる。一時帰宅はできるはずなので、そのとき用にもうひとつバッグを作っていた。
でも、わたしは倉敷市から委嘱される形の地域おこし協力隊なので会計年度職員のように避難所設営等の業務はまわってこない。それに、倉敷でこわいのは孤立。家の周りが浸水してライフラインが断たれても、この家で生き延びる必要がある。
だからとっさに何かを持ち出す必要はないので、食料や簡易トイレを増やして防災バッグから防災ラックへと保管方法も変えてみた。
防災ラックの中身を公開したら、想像以上に好評だった
普段は関東大震災の9月1日と東日本大震災の3月11日に防災グッズの中身を見直すんだけれども(これもまた、職場で確実に避難訓練があるからそのついでに)、今回は台風10号がやってきたのでちょっと早めに防災グッズの中身を見直してみた。
そして、わたしの地域おこし協力隊としてのミッションは「生活のリアルを発信する」だしなぁ……と思って、見直した内容をSNSに投稿。
台風でみんながお家にお籠もりしていた夜に投稿したのもあって、想像以上に好評だった。わたしの生活のリアルが誰かの参考になるのであればそれはとても嬉しい。
倉敷市は「自然災害が少ない」のかもしれないけれども
わたしがビビりすぎたのと、倉敷に移住して1年目の聴覚障がい者が、どんなふうに災害情報を得てどのように行動するのか。
そのリアルを発信しようと思って、今回はとにかくずっとInstagramで情報を発信し続けた。
でそのときに周りの人たちからこんなことを言われた。
倉敷は、というか岡山県は移住者に向けてよく「自然災害の少ない街です」とアピールをしている。それはもちろん魅力的なんだけれども、絶対に自然災害が起こらない場所なんてどこにも存在しない。
だからこそ、自然災害が少ないことと同時にそれでも「いつか」のための防災に取り組んでいることをもっとアピールしても良いんじゃないかと思う。自然災害が少ないから慢心している地域では、やっぱり心もとない。
わたしがライターとして活動している倉敷とことこは、平成30年7月豪雨をきっかけに立ち上がったメディア。有事の際にアクセスしてもらえるメディアであるためには、平時から市民に親しみをもってもらえるメディアであるべき。
そういう意味も込めて、日常的に真備や倉敷の魅力を発信しつつ防災に関わるメディアとの関係づくりにも力を入れているということを、活動しながら少しずつ実感し始めている。
わたしはその考え方にとても賛同しているし、わたしなりにしていけたら良いなと思っている。
自然災害ビビりだからこそ、今回の台風10号のような非常事態は、ビビりなりの情報発信をしていこうと思う。
倉敷市地域おこし協力隊も10か月目に入りました。
天地始粛(てんちはじめてさむし)
さてさて。
8月になったので、高石真梨子の2024下半期BUCKET LIST50なるものの達成状況の報告を。
18/50のリストを達成。
途中40度の高熱を出したにもかかわらず、今月も自分の「好き」や「やりたい」からブレずに活動を続けられて本当によかった。
8月は体調不良と暑さにやられて引きこもりがちだったけれども、そのぶんお家でできる種をたくさん蒔いた。9月は少しずつまた外に出ようかなと考えている。