愛情は 言葉にするほど 伝わるニャゴ|2024.白露・鶺鴒鳴
鶺鴒鳴(せきれいなく)
前回「高梁川志塾に入塾しました!」という内容のnoteを書いたのだけれども。
なんと、9月13日の山陽新聞にてインタビューを受けた内容が掲載された。
地域おこし協力隊になってからテレビやラジオに出演させていただいてきて、ついには地元の新聞に名前が掲載されて。わたし、もしかしてちょっとした有名人なんじゃないかと、勘違いしてしまいそう。
今回ちょっと新鮮だったことは、記事内に「聴覚障がい」という文字がなかったこと。聴覚障がいのある地域おこし協力隊って滅多にいないから、話題性のひとつとしてそこを取り上げてもらうことがとても多い。
わたし自身、お耳の仲間の味方は一人でも多いほうが良いと思っているので、聴覚障がいがあることはじゃんじゃんアピールしてください!のスタンスなんだけれども。
「聴覚障がいのある……」という枕詞なしに紹介してもらって、イチ倉敷市地域おこし協力隊として取材したい!その相手がたまたま聴覚障がい者だったけど、今回の記事には直接関係ないからあえて書かない。という捉えかたをしてもらったんじゃないかなと思っていて。
というのも、取材を受けたときにわたしは聴覚障がいがあることをきちんと伝えていて、記者さんはそれをわかったうえでゆっくりと口の形を読み取りやすいように、静かな場所で取材をしてくれたから。もちろん、わたしがお耳のことを恥ずかしがっていないこともわかってくれていたと思う。
今回は「高石真梨子」の紹介ではなく「高梁川志塾」の紹介だから、イチ受講生に聴覚障がいがあるかないかなんて、読者にとっては知ったことじゃないし、記者さんにとってもそれは同じこと。
それでも、受講生のなかから「高石真梨子に話を聞きたい」と思ってくれて、実際に肩書や名前と一緒にインタビュー内容を載せたいと思ってくれた。
そういう場面が、 #くらしきで暮らす 人々の当たり前になっていってほしいと思う。
「まるごと馬場のぼる展」あとがきのような
この夏は、倉敷市立美術館に足繁く通った。目的は、この夏に開催された展覧会「まるごと馬場のぼる展 描いた 作った 楽しんだ ニャゴ!」。
この展覧会の告知記事・記念講演会レポート・鑑賞レポートの取材と執筆を担当した。
「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」とは
「まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」は、2024年7月26日(金)から9月1日(日)まで、倉敷市立美術館で開催される展覧会。今年(2024年)は山陽新聞創刊145周年の節目の年なので、山陽新聞社と倉敷市立美術館で立ち上げられた「まるごと馬場のぼる展実行委員会」と倉敷市が主催で、開催された。
本企画は、馬場のぼるの没後20年に、アトリエを構えていた東京都練馬区にある練馬区立美術館を皮切りに始まった巡回展。実は、わたしも初回の練馬区立美術館で鑑賞している本展覧会。まさか、倉敷で再会するとは。
子どもから大人まで幅広い年齢層に親しみのあるか「11ぴきのねこ」シリーズをはじめ、デビュー前の創作活動の軌跡や没後に見つかったスケッチブックなど、大人も楽しめるコンテンツが盛りだくさん。
そんな「まるごと馬場のぼる展」についての詳細は以下の画像をどうぞ。
「まるごと馬場のぼる展」に行くことは、わたしの2024年のBUCKET LISTのひとつだった
この展覧会が倉敷で開催されると知ったのは、いつのことだろう。2024年5月30日に作成した「高石真梨子の2024下半期BUCKET LIST50」にはしっかりと「22 11ぴきのねこ展を観に行く」と記されているので、少なくとも5月中旬頃には、知っていたんじゃないかと思う。
このBUCKET LISTを書いたころは、本当にイチ市民として倉敷市立美術館に通う気だった。倉敷市立美術館は、身体障害者手帳の提示で無料で入れるし、何度も通って舐めるように観賞するぞ!と。
「高石さん、まるごと馬場のぼる展の告知記事書きませんか?」
だから、このBUCKET LISTを公開した数日後に、倉敷とことこの編集部から「高石さん、まるごと馬場のぼる展の告知記事書きませんか?」と連絡が来た時の驚きったら。
わたしが!
まるごと馬場のぼる展の!!
告知記事を書いていいんですか!!!
完全に、オタクがアイドルとお仕事をすることになっちゃった!の図。
食い気味に「書かせてください!!!!」と返信して、告知記事の取材へと向かった。
同じ匂いのする人って、なんだかビビビッとわかる気がする
そんなわけで告知記事の取材のために美術館へ行くと、とってもかわいらしい実行委員のかたが対応してくださって。インタビューを進めれば進めるほど
「わたしたち、たぶん、同じように馬場のぼるのオタク!」
というのがビビビッと伝わってきて、えらく盛り上がりまして。そのまま
「実は、記念講演会に行きたいんですけど、内容を聴きとるのは難しいので手話通訳の派遣を検討してほしいんです」
とお願いしてみたり。
手話通訳付きで関谷裕子氏の講演を取材させてもらった日のこと
その後、美術館からは音沙汰がなかったので「やっぱり、無料の記念講演会に手話通訳は難しいか……」と思っていたら、講演会前日に
とメールが届いたときの驚きったら。
馬場のぼるの担当編集者さんの記念講演会を、手話通訳付きで聞ける!
なんなら、取材させていただける!?
ライターとして活動をはじめて、ちょっとずつ「編集」にも携われせてもらうようになった今日この頃。
推しの、担当編集者さんの話を、ナマで聞けるんですよ。
もう、当日は会場でウルウルと泣きそうになったし、講演会終了後に直接名刺をお渡しさせていただいたときには、身体中が震えていた。
とてもとても、上品な女性でした……
実は、記念講演会のレポートは公開前に関谷氏に読んでもらっていまして
倉敷とことこの記事は、普段からできる限り公開する前に取材相手に内容を確認してもらっている。
今回の記念講演会も同様の手続きをと思って倉敷市立美術館に、確認依頼をお送りした。
すると、翌日にメールボックスを開いたら初めて目にするメールアドレスからメールが入っていて。そのメールをクリックしたら、関谷氏から直々に感想と修正依頼をいただいていた。
えええええええ!
そんな豪華なことあります???
あったんですよ。
講演同様にとても丁寧な感想と修正依頼のメールを舐めるように熟読して、数通のメールを交わさせていただいた。実は関谷氏は、障がいのある子どものの絵本体験に関する活動もされていたことがあって。
わたしも教員時代にお世話になったプロジェクトがあったので、その話でちょっと盛り上がったり。好きを言葉にして行動すれば、憧れの人といっしょにお仕事ができるのかと。
講演の内容は本当に興味深くて、こころからおもしろがって書いた記事なので、それを演者さん自ら編集来てくださったこと。わたしにとって大切な記事のひとつになった。
会期の終盤も「まるごと馬場のぼる展」を大切にする人と展示をめぐって
そして、会期も終盤差し掛かったお盆明けは、絵本の読み聞かせと会場の注目ポイントを実行委員のかたと一緒にめぐってきた。(本当は、ねこちゃんとの撮影会にも行きたかったのだけれども、体調が芳しくなくて断念)
BUCKET LISTで宣言したとおり、この夏は足繁く倉敷市立美術館に通った。
とってもとっても楽しかったので、その最後に告知記事のインタビューで盛り上がった彼女と「この展示を見ているときの来場者の表情が良かった」「ここが盛り上がりポイントかと思いきや、こっちのほうが来場者の足が止まっていた」なんて話を30分近くしてから、改めてじっくりとめぐったレポート記事。
わたしはミュージアムめぐり、特に絵本の原画展をめぐるのが趣味で。社会人になってからは、ミュージアムや展覧会のスケジュールにあわせて旅先を選ぶような人間だったので。
展覧会を運営する側の人の熱意や愛をひしひしと受け止めて、それを言葉にして誰かに届けることが、自分のお仕事になるだなんて夢にも思っていなかったから。
この夏は、とってもとっても貴重な経験をさせてもらった。
倉敷市の地域おこし協力隊として、倉敷市の公共施設でのイベントは盛り上がってほしい。でもそういう上っ面な動機ではなく、本当に自分が心から好きなものを言葉にして伝えるときは、その愛情ってちゃんと誰かに伝わるもんなんだなとヒシヒシと感じた夏。
たくさんの情報であふれる今、情報発信者として発信できることって限りがあるからこそ。愛のあるものから伝えていこう。
その愛が、わたしを救ってくれると、ニャゴが教えてくれた夏。