ちいさい秋みつけた|徒然日記
この間、ラジオで
「金木犀を感じました!」
とパーソナリティが話しているのを聞いて、試しに外に出てみたら
「わ〜、感じる感じる」
ふわ〜っとかすかに、あの甘い香りが漂ってきて、そのまま散歩に出ることにした。
夜だったので残念ながら姿は見えなかったけれど、風に乗って時おり鼻先をかすめるのが、控えめでちょっと神秘的で、またいいんだよね。
ということで、金木犀を嗅ぐために、ここ数日は朝の涼しい時間帯に散歩をするようになった。
この時期はオレンジの花をつけているから目立つけど、香らない時の金木犀の外見は、香りの強さからは想像できなくらい地味だよね。
隙間なく茂った濃い緑の葉っぱに、ざらざらした幹。
キノコのように大きく枝を広げているものもあれば、
生垣に半ば埋もれ生えているもの、
驚くほど背丈が低いものもあって、さまざま。
花が咲いてようやく、
「この木は金木犀だったのか」
と気付くこともしばしば。
樹皮が動物のサイに似ているから、金木犀。
花言葉は「謙遜」「真実」「誘惑」「陶酔」ですって。言い得て妙だね。
因みに、金木犀の変種で銀木犀というのもあるらしい。
金木犀ほど香りは強くないみたいだけど、ぜひいつかお目にかかってみたい。
*
その年、一番初めに金木犀の香りに気づいた時、「ちいさい秋みつけた」気持ちになりませんか?
私が通っていた学校にはたいてい1本くらい金木犀が植っていて、
少し肌寒くなってきて、母に持たされたカーディガンと、ぐっと早くなった夕暮れ、どこかの家で秋刀魚が焼ける匂いや、乾燥して白くなった膝小僧なんかを思い出す。
たぶん多くの人にとって、金木犀は秋の始まりの香りだ。
他の季節とは違って、秋は少しづつ、小さく姿を現す気がする。
いつの間にか入道雲が消えて空が高くなって、青々としていたはずの街路樹の葉が小さく萎んで。
春はみんなが心待ちにするけれど、秋は、気付いた頃には思っていたよりずっと近くにいる、そんな季節だと思う。
*
今週末は引っ越し先の内見に行きます。
暇を持て余すだろうと思っていたものの、なんだかんだ年内は忙しくなりそう。
どうか、いい家見つかりますように…
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