人の心理には「慣性の法則」が働く。変わることへの無意識のブレーキ
本日(4月7日)にも新型コロナウイルスの感染拡大で特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が出されると言われています。
東京都でも感染拡大が広がり、3月後半頃から不要不急の外出を控えるように、いわゆる「自粛モード」にシフトしていますが、
若者が「春休みだから」「バイトがないから」「友達と約束しているから」などの理由で渋谷や原宿に溢れていたり、若者だけでなく花見客で賑わう様子を報道されて、海外から懸念の声が上がっていたりします。
「当事者意識を持ちなさい」と、色々な場面で言われたり、意識を促されることがあると思いますが、
例えば社会問題に対しても、海外で起きる出来事に関しても、ましてや自分の身の回りですでに起きている“目に見えない感染の脅威”に関しても、人々が「自分ゴト」として当事者意識を持つことはなかなか難しく、対岸の火事だと思ってしまいがちです。
では、どうしてそのような心理になってしまうのでしょうか?
その答えの一つに、人の心理には「慣性の法則」が働くということが考えられます。
変わらなければならない時に、人の心理には「今までの状態を維持したい」という慣性の法則が働く。
「慣性の法則」という言葉が懐かしいと思う方もいらっしゃると思いますが、物理の時に習ったニュートンの運動の第1法則とも言われるもので、簡単に説明すると、「動いているものは運動の現状をそのまま保持しようとする物体の性質」のことを言います。
車が急ブレーキをかけた時に、私たちの体が前のめりになるのも、動いているそのままの状態を続けようとする慣性の法則によるものでしたよね。
この慣性の法則は、変化しなければいけないときの人の心理にも同じような働きを見ることができます。
つまり、人は変わらなければいけない時でも「今までの状態(思考・考え方なども含む)を維持しよう」という心理が働くのです。
例えば、新型コロナウイルスが感染拡大しており、自粛モードを促された時にも、すぐに自粛モードになろうとはなかなか思えません。(もちろん切り替えが早い人もいますが…)
「友達と週末遊ぶ約束をしているので、キャンセルまでして自粛したくない。そのまま遊びに行こう」
とか
「前々から花見の会を予定していたので、自分たちは大丈夫だろう。そのまま決行しよう」
とか
「年に1回の大事なイベントだから、このまま開催したい」
とか
「定例の社内会議をオンライン開催ではなく、今まで通りオフィスで実施する」
とか。
まずは今までの思考を維持しようという心理的な力学が働く。
これが心理的な慣性の法則であり、変化に対する無意識の心のブレーキになってしまいます。
ですが、自粛モードが継続している中で、気持ちや心に変化があった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
最初のうちは、できれば今までの状態を維持したい。あまり変えたくないと思っていたところから、
「どうせならお家にいる時間を楽しもう」とか「こんな時だからこそオンラインでの発信やコミュニケーションに調整してみよう」とか「家族や大切な人と過ごす時間を大切にしよう」など、
今までの状態を維持するのではなく、変わらなければいけない環境に適応しようと、また適応した上でさらに新しい喜びや楽しみを見出そうと、心がシフトしてきた方も世の中的に増えてきているように思います。
こちらは Carl Jonsson氏が英語版で作成された図ですが、人々の心理は
「恐れのゾーン」→「学びのゾーン」→「成長のゾーン」
へと、変化そして成長していきます。もちろん世の中には恐れのゾーンだけで留まってしまう方もいるでしょう。それでも一人でも多くの方が、当事者意識を持ち、学びや成長のゾーンに進化していくことで、新型コロナウイルスによる社会的な不安や心理的な不安を少しでも軽減できるはずです。
この変化が必要な際の心理的な慣性の法則は、こういった感染症拡大のような非常事態だけに止まらず、私たちの人生に訪れる様々な変化の時に、無意識に働く心理的な力学でもあります。
自分が現状を維持しようと考え次の一歩に進めない時、不安や恐れを抱えてしまう時、変わらなければいけないのに変われないと思う時に、ぜひこのことを思い出して、意識的に自分の心と向き合ってみることも良いのではないでしょうか。
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