【芸術部 NY】NFTアートって何ですか?
※過去記事のアップです(2021年3月14日)
Good Evening & Good Morning!
芸術部NYの石村です。
最近、アート業界はNFTの話題であふれているのでいるので、気になった記事を皆様にも共有させてください。
アート系情報配信、SNSで毎日目にするNFT(Non-fungible token)というワード。
正直、ちょっと込み入ってそうなので、極力スルーしたいと思っていましたが、笑
今後の流れになっていくような気もするので、向き合うことにしました。
◆ 10分で分かるNFT(Non-fungible token)
https://hashhub-research.com/articles/2020-03-01-nft-in-10-minutes
「専門的なレベルまでは深堀りしたくないが、
1時間だけ真剣に学んで最低限の理解を確保しておきたい」あなたに送る!
なんとも有難いコンセプトで纏められたNFTについての解説です。
(あえてサマリは作成しないので、読んでみてください~)
◆ 過熱するNFTアートマーケット
NY時間3月11日、クリスティーズのオークションで、アーティストBeeple(ビープル)の
NFTアート作品が約6900万ドル(約75億円)で落札されました。
そして、この作品はイーサリアムで支払いをすることができました。
このオークション以前から、アート業界ではNFTとアートの結びつきが加速する動きが高まっています。
特に衝撃だったのが、Injective Protocolという金融のトレーダーグループがバンクシーの作品を燃やすことで物理的に作品を無くし、その燃やしている映像をNFTに転換して販売したというもの。
(映像はこちら)
$95,000(約1,000万円)でInjective Protocolに購入された作品は、
NFTに変換されて$380,000(4,100万円)相当のイーサリアムで即座に販売されたようです。
Injective Protocolのメンバーによると、
彼らの目的は「既存のアートワールドとNFTの世界を繋ぐこと」だそう。
この出来事については、想像に容易くかなり批判を受けている側面もあり、ある批評家は
「何でも芸術作品だと言えますが、バンクシーを燃やしてお金が欲しいと思ったら、それは私にとって芸術作品としてはかなり低いランクです。」とコメントしています。
記事の全文はこちら(A Group of Financial Traders Torched a $95,000 Banksy on Camera
to Transform It Into a (Maybe) More Valuable NFT Artwork)
この他に、ダミアンハーストが、仮想通貨マーケットに進出したとのことで
満開の桜を描いた「The Virtues」という版画を
ビットコインまたはイーサリアムで購入することができるようになりました。
ダミアンは、仮想通貨の世界が大好き、とインスタグラムでコメントもしています。ただ、版画自体はNFTではないです。
また、ツイッターの創設者ジャック・ドーシー氏が、彼がツイートした
世界初のツイートをNFTで競売にかけていることも話題になっていました。
現在、$2,500,000(2億7千万円)で入札が入っています。
さらに、ポップアートアートの帝王アンディ・ウォーホルの作品がNFT化されて、クリスティーズのオークションに登場!(オークションはこちら)
1980年代、欧州の若者に人気だった伝説のコンピューター コモドールが開発したAmiga!
なんと、ウォーホルもAmigaを使って作品を制作していたようです。
今回、フロッピーデスクに保存された作品5点を復元し、ウォーホル財団がオークションに出品しました。
記事の全文はこちら(The Warhol Foundation Is Auctioning Off the Artist’s Computer-Based Works as NFTs.
An Archivist Who Uncovered Them Is Outraged)
1980年代半ばに作成された作品は、いかにもNFT映えしそうな感じで、もはやウォーホルが預言者にも思えます。
クリスティーズCEOのセルッティ氏は、ウォーホルのNFT作品がオークションで扱われることについて
「3月のオークション(Beepleの落札)に続く、ロジカルなステップ」とインタビューで話しています。
Christie's CEO: Andy Warhol is the next NFT star
(インタビュー映像はこちら)
NFTは、芸術性よりもユニークピースであることに価値を置く完全なる投資としてのマーケットなのだろうかと、極端に言えば「ユニークピースであることを証明する」という目的で、将来モナリザや、過去の偉大なアーティストたちの作品が、燃やされるリスクもあるのではないかと、無駄に悲しい気持ちになりつつ、素敵な記事もありました!
◆ NFTアートコレクターってどんな人
□誰がNFTに何百万ドルも費やすのか? ビープルの初期のコレクターに会う 記事
(Who Spends Millions on NFTs? Meet Beeple’s Crypto-Rich Early Collectors)
NFT作品のコレクターが数人紹介されているのですが、その中で、昔からビープルを応援しているTim Kang氏というのキュー・ミュージックの創設者で仮想通貨の投資家のコレクターさんのお話しがメインに取り上げられています。
(なんと28歳!そしてLinkedInにいます)
イーサリアムに多額の投資をしているKang氏は、NFTの仕組みに興味があり、元々はアート自体にそこまで関心があったわけではないそうです。
しかしビープルの作品購入後に、彼から直接連絡が来たことをきっかけに、コレクターとアーティストとしての関係が始まりました。
今では、ビープルの作品への愛着が生まれ、5億円で作品を売って欲しいとのオファーも断ったとのこと。(将来子供ができたら、子供に譲りたいそうです。)
そして、アーティストとの交流から、作品の収益化に苦労している彼らへの敬意が生まれ、
アーティストにNFTの背後にあるテクノロジーについての教育を与え、彼らの仕事に光が当たる資金を提供していきたいという想いでNFTミンティング(トークン鋳造)までの費用の助成金制度を立ち上げたというお話しでした。
(バンクシー作品が放火される衝撃的な映像の後で、心を潤すお話しでした。)
また、仮想通貨マーケットの高騰によりアート業界では、新しいタイプの潜在的な慈善家やコレクターが誕生し、NFTへの投資への価値をコレクターに納得させることは、成功したNFTアーティストの仕事の一部であると述べられています。
◆ NFTはデジタルアートコレクションの未来なのか
NFTがアート業界の世代を超えた進歩の手段になるのか、それともバブルに終わるのかを決める4つの要因があるという記事がありました。
この4つの要因が、どのように動くのか、NFTとアート業界内での均衡が今後を運命付けそうです。
4つの要因:
1. The Power of Gatekeepers(ゲートキーパーの力)
既存のアートワールドでは、マーケットに誰が参入するのかについて大きな影響力があります。
(ex.コネがないと、人気アーティストの作品を販売してもらえないなど)
一方、NFTでは、アート業界の権威者、施設に関係なくアーティストやバイヤーを歓迎します。
2. The Values of Collectors(コレクターの価値観)
1のゲートキーパーの力を非常に強力にするものの一部は、ハイアートコミュニティ内で繋がりを持つコレクターです。
それらコレクターの好みには似通っている性質があり、ディーラーは、同じ種類のアーティストのリプレゼントになろうと競います。
一方、NFTでは、これまでのところ、ほとんどでないにしても多くのNFT購入者は、伝統的なアート業界の外部から集まっており、何をどのような価格で取得する価値があるかについて、確立されたディーラー、アドバイザー、コレクターの意見にほとんど関心がない傾向があります。
3. Redistribution of Wealth(富の再分配)
既存のアートワールドでは、アートを現金化する場合、多くのメリットはコレクターにあります。再販ロイヤリティを受け取れるアーティストは、ほとんどいません。
一方、NFTでは作品を再販する場合のロイヤリティは、NFTの条件に組み込まれているため、アーティストは、永続的に利益を得る可能性があります。
4. Ownership and Preservation(所有権と保存)
既存のアートワールドでは、作品の所有権(および著作権)保存管理についてアーティスト・ディーラー・コレクターの間でしばしば、もめます。
一方、ブロックチェーン(=NFT)には、作品の完全な出所と著作権の詳細が含まれており、知的財産問題が発生した場合でもブロックチェーン上で確固たる証拠を提出できます。
記事の全文はこちら (Will NFTs Revolutionize the Art Market or Repeat Its Greatest Failures?
These 4 Factors Will Determine Their Fate)
※記事では、4つの要因それぞれの課題や、注目すべき点が紹介されているので気になった方は、ぜひみてみてください。
週末にかなりボリュームのある内容になってしまいましたが、
気が向いたら、見てみてください~
どうぞ、よろしくお願いいたします。