「いつもと違う」がいつかの当たり前になる、そんな小さな可能性の積み重ねを

壮大な考えとみみっちい心配の全てがこの景色の様に無造作に、
でも美しい秩序を持って存在している。
そして、これが私に見える世界だ。
でもほんとうは、もっと大きいものに違いない、
そういうどきどきした気持ちになる。
川の流れを見つめていると、ただそうしているだけで
無限に何かを蓄えている感じがする。

吉本ばなな 「ハゴロモ」

最近読んだ本に、川が出てきた。私は川と川沿いの風景や街並みが好き、の様で。アメリカのポトマック川も、ロンドンのテムズ川も、パリのセーヌ川も、東京の墨田川も、はたまた地元の菜の花いっぱいの川も……。好きだなあ、と気づいたのは数年前のこと。引っ越し先を決めるときに「駅までの道のりに川があるからここにする」というときだったけれど。

気持ちが急いているときに落ち着いたり、きらきら輝く水面に元気をもらたり、悲しみをゆっくりと優しく流してくれる、であったり。
でも、川の周りの風景や空気はそれぞれ違っていて、それぞれが醸し出す色を含めてまるっと好きなのだと思う。

水の都、大阪も好きな場所はいくつかあるのだけれど個人的には「キタ」の近辺が好き。ここにはもう一つ好きなものがあるから。

いつの間にか夏の気配、19時になろうとしているのにまだ明るい。さっきまで降っていた雨が上がって、少ししっとりとした夕方と夜の間。ちょっとだけぼんやりして過ごす。そういえば大阪に来てから仕事終わりにどこかへ行くのは初めてで、少しだけ日常が近づいてきたような、新しい毎日が始まったような不思議な感覚に。

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この日は、「旅する喫茶」で癒された日でした。

上記の記事でも同じレンズ使ってます(単焦点20㎜/F1.8)

もう1つ行きたい場所があったので、すっかり夜になった街の川沿いを歩いて、橋をわたる。

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橋の向こうに、一人で感動していた。ちょっとだけ外国っぽくて。
これまで夜にこの道を通ることってこれまでになかった気がする。ライブやイベントの時にはお昼か夕方に入って別の道から駅に向かうことばっかりだったからこの景色を見たことがなくて、とても新鮮な気持ちに。

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大阪で(今のところ)一番好きな場所、中央公会堂。
単焦点20mm、手元を撮る感覚とはまた違って、世界が広い……。

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ライトのところ、細かい雨も映ってびっくりした……。

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入口にあるライトかわいい。こんな感じだったんだ、なんて何で気づかなかったんだろう、と思うことがたくさん出てくる。

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元々好みだったレンガ色の大正・昭和レトロな建物、光と影も好きだったので、珍しく彩度を上げてみたり。
この日は単焦点で、と勝手に決めていたので細部によるのはまた今度の楽しみに。

そういえば、「旅しゃぶ」で建物を撮るなら何ミリぐらいがいい、という話をしていた時にはよくわかっていなかったけど、実際に見てみるとすごくわかる。それから世界の切り取り方ってたくさんあって、それぞれが美しくて正解なんじゃないかな、なんて。
(だから、色々とさわりたくなってしまうし、撮ってみたくなってしまう……)

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きっと普段なら撮ろうと思っていないだろう角度。体力がない私は、目的の写真を撮ったら割と満足してしまうから「来た道を振り返る」ってあまりない。でも、少しでも、ちょっとでもいいかも、って思った一瞬を残しておきたい、と思ったような記憶がある。ふわふわしていたけれど。

夜景は苦手、初めてのレンズ、これまでに撮ったことない被写体、だったけれど、何だかすごくわくわくしていた。ちょっとだけ散歩の予定があっという間に時間が過ぎてしまうぐらい。

それから、もう戻れないんだろうな、とも思う。
夜景を撮るのが楽しいということも、やっぱり単焦点が好きなのも、「撮りたい」が実現する楽しさも、少しずつ、一つずつ知ってしまっているから。

それから、そろそろ趣味に「写真撮ること」も加えていいかな、って思っている。これまで趣味、と言ったら「野球」とか「(稚拙かつ恥ずかしい内容というのは置いておいて)文章書くこと」、「旅」って言ってたけれど。
胸を張って趣味って言っていいんだろうか、設定も、機材も、教えてもらってばかりで、好きだと思う写真も撮れないのに……なんてずっとひっかかっていて。でも楽しいと思っていることは嘘じゃないよね、って思った夜のこと。ようやく気持ちの整理ができたかもしれない。それに気づかせてくれた機会に感謝を。

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maria
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