【人類学】他の類人猿と違って、人間の子は一人で子育てできない造りになっている
今、「子育ててでしんどいお母さんを助けよう」という動きが世間にありますが。
実は。そもそも人間の子育ては「お母さんがするもの」ではありませんでした。
人間は、複数人で子育てしなければならない体の進化を遂げたことが、人類学の研究で分かっています。
今日は、その人間の子育ての仕組みについて簡単にお話しします^ ^
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はるか昔、人間は類人猿が住む熱帯雨林を離れて、サバンナに出ました。(食糧問題などに瀕したためだったと思います、確か)
熱帯林↓
サバンナ↓
生き延びるために人間はサバンナに出た訳ですが、サバンナには大型の捕食動物がたくさんいて、逃げこむ樹木も少ないため人間の乳幼児死亡率が増加…。種の保存の危機に陥った人間はここで、
多産になる必要に迫られました。
多産になるためには?
授乳中は妊娠できません。なので、母から早く子を引き離して次の妊娠をさせることにしました。
これは、つまりどういうことかと言うと。
人間の多産化は父親と仲間が子育てに参加することで可能になった
ということです。ちなみに、類人猿の授乳期間はだいたい3〜7年。人間は2年以内です。類人猿は一生に数頭の子しか産めませんが、人間は年後も可能で10人以上産むことができます。(ちなみに私の祖父は11人兄弟)
なーんだそんなことか。でも今は10人も子ども産まないから関係ないや………
とはいかないんです。
実は、人間の生存戦略においての体の変化はそれだけではありませんでした。
人間は類人猿より多産なのに、子どもの成長スピードは類人猿よりずっとずっと遅くなりました。
こどもはぽんぽん生まれるのに、なかなか成長しない…。それはなぜかというと、
人間は「脳が大きくなったから」&「二足歩行により母親の産道が狭くなったから」です。
人間の特徴である二足歩行は広範囲をゆっくり歩き、自由になった手で食べ物を集めて安全な場所に運んで食べることができます。
そんな人間は、進化の過程でだんだんと脳が大きくなっていきました。
しかし、脳は大きくなったのに、二足歩行によって骨盤の形が変わり産道が狭くなったので、母は頭の大きな子どもを産めなくなりました。
そこで、人間は「小さな頭の赤ん坊を生み、類人猿の2倍以上の年月をかけて子どもの脳を大きくする」ことにしました。
2倍以上とは、具体的に言うと、
ゴリラやチンパンジーは4歳ほどで大人と同じ大きさの脳になりますが、人間の脳は12〜16歳まで成長します。そして成長期の子どもの脳は摂取エネルギーの48〜80%を使います。なので、人間の子どもは、体の成長を後回しにして脳の発達を優先するように成長期を伸ばしました。
すなわち人間は、体も脳も未熟なこどもを、長期間たくさん抱えるようになったのです。このため、
人間は他の類人猿とは違い、「家族」と「コミュニティ」が必要になった。
と言うわけです。
複数の家族を含むコミュニティを持つのは人間だけの特徴です。本来他の動物では持つことのできない特徴を人間は持つ必要があったと言うことです。
人類学者の山極寿一さんによると、チンパンジーの赤ちゃんはとても静かだそうです。自分で母にしがみつけるので自分で自己主張する必要がないから。
人間の赤ちゃんは、生まれてすぐに母親以外の手に渡されて育つため、自己主張する必要があり、けたたましい声で泣くようにできています。
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いかがでしたか?
よくお母さん同士で「子育てはひとりでするものじゃない」と慰めのように言い合うことがありますが、これは慰めじゃなくて、本当に本当にできないんです。
人間の赤ちゃんや子どもは長いこと未熟なので、つきっきりで誰かが見てあげないといけない。それを仕事も家事も全てしながら一人で行うというのは無理なんです。
昔は乳母がいたり、地域で子育て、村で子育てできる環境がありました。今は、地域や隣ご近所さんが育児に関わるなんてことはほとんどない。それどころか、唯一の頼みの綱であるパパ(旦那さん)が育児を一緒にしてくれることもほとんどないと思います。
こんな状態だと、お母さんがいつも疲れていたり、イライラしたり、夫婦関係が悪くなったりするのは当然ではないかなぁと思います。
だから、育児が思うようにできないことや、優しい自分でいられないことを、どうかママは責めないでくださいね。
でもそれが分かったとしても、社会の状況的に、パパに子育てを頼むのは無理だと思うので…。じゃあ、地域のみんなでやろうよ、というのが「地域の子育てハウスNENE」の考えです。
そうしたら、ママもパパもこどももご近所さんも、もう少し楽しくなるかもしれないよなって思います。
育児がしんどいと思う方はネネにぜひ遊びにきてね!
ネネは大阪府豊中市にあります。
遠方だから行けないなど困っている、という方はお話聞くので連絡くださいね^^
今日ここでご紹介した人類学のお話は、このサイトに詳しく乗っています!
またこの文章を書かれた人類学者・山極寿一さんの本もとても参考になると思いますので、興味のある方は読んでみてくださいね!
地域の子育てハウス・NENE(ねね)
(↑ネネのサイトは只今準備中なので作りかけです)