萌え絵批判に一貫性がないという誤解を解いてみる
萌え絵批判を嘘という誤解
萌え絵への批判は多岐にわたり、宇崎ちゃんの献血ポスターやラブライブ!のみかんポスター、環境省によるイメージキャラクター君野イマ/ミライが批判の的となった。
そしてこれら3事例の批判で指摘されたポイントはそれぞれ異なるものだった。これが萌え絵擁護派には理解できなかったようだ。彼らは「萌え絵批判派は萌え絵を批判したいだけであり、理由はないのでは?」という疑念をおそらくは抱いた。そして「萌え絵でどんな表現をしたかではなく、萌え絵自体がミソジニーを内包しているのではないか」という考察も一部でなされたようだ。
いずれにしろ萌え絵擁護派の少なくない層は、萌え絵批判の一貫性のなさが理解できずそれに対して批判的である。
私が萌え絵に感じる一貫性
私は「萌え絵批判に一貫性がない」に対して、「一貫性がないことを批判するのは間違っている」という立場をとる。少しだけ複雑な主張になるかもしれない。私の主張は以下の2点だ。
・萌え絵は程度の違いはあれ、性的なニュアンスを含む
・萌え絵は女性をアイキャッチに使う等の性的以外の問題を含む
前者が宇崎ちゃんとラブライブ!ポスターの共通の批判ポイントである。後者は例えば男女比率の偏りや女性をアイキャッチに使う等が君野イマ/ミライの批判ポイントになっていると認識する。補足すると宇崎ちゃんやラブライブ!のポスターも後者の批判ポイントが含まれるし、逆に君野イマ/ミライにも前者のポイントが微かながら含まれると思う。
つまり萌え絵には複数の共通点があるが、イラストによって相対的に重要なポイントが変わるため、強調ポイントが変わるだけだ。これに対して、一貫しないと感じる人もいるということだ。
性的ニュアンスは本当か嘘か
萌え絵に性的ニュアンスは含まれないという主張もある。宇崎ちゃんのポスターは性的ではない、ラブライブポスターは性的ではないなどの主張はたまに聞く。これは本当だろうか。
その主張をする人は、例えば「エロ絵 表情」等で検索してみて欲しい。下がり眉、頬の紅潮等、宇崎ちゃんポスターのイラストで指摘されていた記号がエロ絵の手法と一致するということがわかると思う。
もちろんそれらを性的と感じない人もいるだろう。それを嘘だとは思わない。しかし逆に性的と感じる人のことも疑わないで欲しい。下がり眉や頬の紅潮等の性的に描く手法の効果を敏感に感じ取る人がいるということを理解していただけるとよいと思う。
ラブライブ!のみかんポスターでは従来イラストよりスカートが短かったという指摘がある。また、少なくない割合の人にはスカートが透けて見えたようだ。この人たちには異常に性的に見えたことだろう。
このスカートが透けてみえるという意見についても、嘘だという指摘があるようだ。これは人によって見え方が違うというだけで、否定する根拠があるとは思えない。私達は錯視やだまし絵という知識を持っている。人によって見え方が異なることぐらい受け入れられるだろう。
このポスターが性的と言える理由は他にもある。ラブライブ!ファン寄りの方々から性的という指摘もあったのだ。Twitter上ではファンからの批判的なコメントがあったようだ。また、ネット掲示板にてファン寄りのユーザーが性的であることを愉しむような書き込みをしていた。これらの事実からも、ラブライブ!のみかんポスターが性的といえるのではないだろうか。少なくとも嘘とは言い切れないと思う。
君野イマ/ミライについては性的という指摘はそこまで強くない。このイラストについては性的であること以外の要因の方が批判の理由としては強いはずだ。ただし私は頬を紅潮させた構図のものをみたことがある。動画の一部だったと思う。弱いながらも性的ニュアンスは存在するといえると思う。
このように萌え絵には強弱はあれど性的なニュアンスが含まれると私は思う。
性的以外の理由での炎上は激化しない
君野イマ/ミライについては、性的以外の要因が強いと思う。例えば女性をアイキャッチに使うことが性差別的であるという指摘がある。これが性差別とする意見が多数だとは私も思っていない。今後この指摘が支持を得るかどうか見守っているところである。
ただし、環境問題という国民全員が取り組むべき課題についてキャラクターを2人用意する際に、2人とも女子高生であるという偏りについて違和感をおぼえる人はいたのではと想像する。ただこの意見もそこまで多数ではないと思う。だからこそ君野イマ/ミライについての批判は、宇崎ちゃんやラブライブ!よりも規模が小さかったのだと思う。
しかし規模が小さかったとはいえ問題と思う人はいる。これらの声を無視せず耳を傾けていきたい。広告のイラスト表現について女子高生女子中学生の描写が多すぎれば必ず批判が出るだろう。ではそこに何の問題があるのか、慎重に考えたい。
誤解が解けたら対話をしよう
例を挙げながら以下2点を述べた。
・萌え絵は程度の違いはあれ、性的なニュアンスを含む
・萌え絵は女性をアイキャッチに使う等の性的以外の問題を含む
「萌え絵批判派は萌え絵を批判したいだけだ」という誤解が解ければ幸いである。
そして、誤解が解けたら対話をしよう。
私は公共の場でどの程度の表現が適しているかを議論すべきだと思っている。建設的な議論に移行できるとよいと思う。
注: この文章はこのTweetに編集を加えて作成しました。