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熟成ワインと魔法の調味料

ワインの熟成は、ヴィンテージや抜栓時期によって異なる表情を見せ、その複雑な風味は料理とのペアリングでさらに輝きを増します。熟成ワインの楽しみを最大化するポイントは、テイスティング後に、その風味にあったひと手間を料理に加えることです。

たとえば、熟成シャルドネの一例として、マッソン・デュボアのサヴィニレボーヌ2011をご紹介。この白ワインは、シャルドネ100%でつくられたもので、熟成が進むことで、味噌やチーズを思わせる芳醇な香りと、まろやかな甘味を伴う風味を持っています。このワインに合わせた料理を提案するため、ソムリエはその感想をシェフに伝え、シェフはオーダーしていた「ポテトサラダ」を西京味噌を使った特製ソースで仕上げてくれました。

西京味噌は、一般的な味噌より麹を多く含むため、深いコクと上品な甘味が特徴です。この西京味噌ソースが、マッソン・デュボアのサヴィニレボーヌ2011と見事に調和。ワインの熟成によるアーモンドや蜜のようなニュアンスが、ポテトサラダと一体化し、添えられたイクラの塩味も丸みを帯びて全体が調和したのです。

味噌は、日本を代表する発酵調味料であり、熟成ワインとの相性を飛躍的に高める魔法の調味料です。たとえば、シャルドネの熟成には、蜂蜜やカシューナッツを思わせる風味を持つ関西の白味噌が最適です。その優しい甘味が、熟成シャルドネの柔らかさと調和し、ワインの味わいをさらに引き立てます。

また、ピノ・ノワールの熟成には、まろやかで優しい風味の淡色味噌がおすすめです。熟成ピノ・ノワールの赤い果実やスパイスのニュアンスに寄り添いながら、その味わいを包み込むような役割を果たします。一方で、カベルネ・ソーヴィニヨンの熟成には、旨味が濃縮された長期熟成の赤味噌が最適です。熟成による黒い果実やカカオを思わせる風味と赤味噌の深いコクが重なり合い、力強くも調和の取れたペアリングが生まれます。

次回、熟成ワインを楽しむ際には、日本の味噌を隠し味に加えた料理をぜひお試しください。それぞれの味噌が織りなす豊かな風味が、熟成ワインとの新たな発見をもたらし、感動的なペアリング体験を約束してくれるでしょう。

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