帯締めをベルトに
なんかね、ちょっとしたニーズがありまして。金属と革を使わないベルトが欲しいい、とね。
えー、どうしよう…。でも、和装で「ベルト」といえば「帯締め」。絹の糸を束ねねて組み合わせて作る組紐は日本の伝統工芸として本当に素晴らしいものです。
組紐の里を訪ねたことがあります
もう、10年以上も前になるか。伊賀組紐屋さんに取材に出かけて、そこで組紐を組む伝統工芸士の女将さんと撮影勝負したんだわ。いや、別に宣戦布告したわけじゃなくて、組んでいるその手の動きをうまく捉えられないかと思ってね。その時は私がカメラマンも兼ねていたもんで。
いやなんのその。動きが速すぎて、カメラの前に止まらないのよ。びっくりでした。でも、頑張って、こう、スッと筋の入るような動きのある写真を撮りましたけどね(威!)。その時に見せてもらった「綾書き(組紐の柄を組むための指示書のようなもの)」は不思議な数学の世界のように見えました。でもね、大学ノートだけじゃなくて、折込チラシの裏とかにも書かれているのよ。それが面白かった。
着物の仕上げとして、きゅっ!と締める帯締め。「お紐」とも言われて、いや、手組みのいいものはン万円、ン十万円したりするんだけど、その価値は締めてみないとわからないかもしれません。
さて、今回は…。
それで、今回手に入れたのは喪装用の帯締め。正装用だからモノはしっかりしてるけど、今どき不祝儀に和装する人も少なく、割と使われずに骨董市やリサイクルショップで簡単に手に入ります。まずは黒で作ってみようと思ったので好都合です。
金具のバックルを使わずにベルトを締めるための形を工夫しました。和装しない人は帯締めを結ぶ、ということができないからね。そして、締めた先に残る長い端を好きなところで止められるよう、土台には全部を縫い付けないで、間隔を開けて、縫い止めることにしました。これで、先を垂らしても、好きなところで和装の帯締めのように絡ませることもできます。
片側だけ、輪にしてあるんですよ。
こんな風に、結び方のバリエーションもいろいろ。
まずは、一つ、作ってみました。評判も見て、カラフルなものも作ってみようかと思います。