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【心の栄養!ノート】映画「ONODA 一万夜を越えて」 (*ちょっとネタバレ)

映画・ドラマというのは、"他の人生"を堂々と垣間見て心を揺さぶることができる、人としての心の栄養だ。
"他の人生"とは、映画の題材となっている人物でもあるし、その映画を作った監督の視点かもしれない、またはその台本を丹精込めて作った脚本家の心かもしれない。映像として起こすために必要な物すべてだ。
そして、映画は観た者の心も、反映するものだ。


ここに紡ぎ出す感想は、そんな心の反映の一つの例えに過ぎません。
映画大好きで映像業界に入った私が、映画館の暗闇の中、メモを走らせて感じ得た感想を綴っていきます。

「人間とは、環境に馴染んでしまう生き物。
または、環境が人間に馴染んでしまうのか・・・」
なんて感想が最後に出てきた映画。

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タイトル:Onoda, 10000 nuits dans la jungle 
邦題:ONODA 一万夜を越えて

監督:アルチュール・アラリ (フランス)
上映時間:2時間45分
公式ウェブサイト:https://onoda-movie.com/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt9844938/

上映時間を調べてびっくり。2時間45分。165分。
2時間45分もの映画、ここ最近・・・いやもう10年近く観てないかもしれません。Lord of The Ring (ロード・オブ・ザ・リング)以来かも?(笑)

PCやプロジェクターで観る映画に慣れてきたここ数年の自分に、じっと3時間近くも座れるのかちょっと心配もしましたが、そこはやはり映画館の効果。やればできる。#そこじゃない

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ストーリー

秘密戦の特殊訓練を受けていた小野田寛郎は、劣勢のフィリピン・ルバング島にて援軍部隊が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう、命令を受ける。出発前、谷口教官から言い渡された最重要任務は“何が起きても必ず生き延びること”。玉砕は決して許されなかった。しかし彼を待ち構えていたのは、ルバング島の過酷なジャングルだった。食べ物もままならず、仲間たちは飢えや病気で次々と倒れていく。それでも、小野田は生きるために、あらゆる手段で飢えと戦い、雨風を凌ぎ、仲間を鼓舞し続ける。
必ず援軍が来ると信じて。。。。
(公式ウェブサイトより一部抜粋)


作品を観る際は、
・映像制作側の視点(批判ではなく勉強や発見のため)
・一観客としての視点(単純に、映画を観て個人的に心に残ったもの)
の視点でノートを取りながら観ています。


映像制作側の視点で取ったノート:

(*ちょっとだけ、ネタバレになるかもしれませんが・・・)
・オープニングのススキのグレーディング (美しいこと!まるで絵画の様!)
・フィックスカメラと手持ちを、同じシーンで併用(それぞれのキャラクターの心情を対比で表している!)
・ジャングルのドリーはいかに設置したのか!?

一観客視点で取ったノート:

・小野田さんとジャングル
・人と環境
・ホーム?人が生きたところ。亡くなったところ。


今回は、ノートに残した言葉が少な目でした。
というのも、心底見入っていたため。

制作側的なノートは、結構なレベルでのspoiler alert (ネタバレ)になってしまうので、上記の簡単なメモだけで終わろうと思いますが、一観客としてのノートについて。

小野田さんについては、ニュースでも、著書でも、動画でも多く語られているので、既に皆さんは基本的な情報はご存知の事でしょう。
今回の映画は、フランスのアラリ監督が、小野田さんのストーリーに魅了され何年も掛けて制作されたそうですが、その日本で育っていないアラリ監督が作られたからこその、今までに映像になかった「小野田さんの視点」が映されていたのでは、と感じています。

戦争を背景にした映画なのに、
そこまで生々しく戦っている映像を挟まず、
ジャングルが持ち込む自然の喜び、狂気、恐れ、幸運、悲しさ・・・
そいういった物と"一緒に" (と、表現してしまいたくなるように)生き延びた小野田さんの様子が、淡々と映し出されていく。

小野田さんの心情について、映画に出てくる小野田さんの口からは
一切語られていません。
淡々と、でも、ジャングルで起きた数々の事象に丁寧に寄り添って
その瞬間瞬間を繊細に映し出す事により、
日本兵としての精神を最後まで貫き通した小野田さんの"心情"を炙り出すかのように表現されていました。

例えば、
残された小野田さん一隊がジャングルの隅々まで調べ上げる時、
ちょっとずつジャングルのサバイバル生活を形づくっていく時、
人間らしい寝床を作り上げていく過程や、
食事の風景や、"作戦"の敢行の時など。

その過程で、決して口で語ることのなかった小野田さんの心情が、
緑深く生い茂るジャングルに融和して、一体化していくような。

アラリ監督は、”日本兵”や”戦争”、"殺し合い"など
前知識を取っ払って「信念を持つ人間とたただ在り続けるジャングル」の生き様をただただ映したがったのではないだろうか。
と感じました。

30年間もジャングルで過ごした一人の人間の生き様を
垣間見て、貴方の心はどう揺さぶられるでしょうか。

本当に深い作品です。

劇場情報

TOHOシネマズにて公開中
https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=019941


今回の観劇時の情報:
・場所:東京新宿周辺
・時間帯:12:30頃から
・観客7割入
・観客層:40-60代
・男性が7割ほど


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