愛について
作者はワジム・フロロフ。
1966年刊行のロシアの児童文学。
当時はソビエトだった。
「ゲド戦記」を翻訳した、清水眞砂子さんの書評「そして、ねずみ女房は夢を見た」に載っていて、ずっと気になっていた本。
一昨年古書店で見つけて、手に入れたものの、なぜか読めずにいた本。
お利口さんな児童文学に反抗するために書いた、と作者が言うとおり、これを勧めるのは人を選ぶかもしれない。
でも、子どもだって大人だって、みんな誰しもどうしようもない世界に生きているのだ。
「何に、どんなわけがあるのか」。
原題を直訳するとそういう意味らしい。
何に、どんなわけがあるのか。
まさに、人生を考えるのに大切な言葉だ。
でも、同時に人は、その答えのすべてを手にすることはできないのだ、とこの作品は教えてくれる。