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【映画】二つの民族は兄弟~『もうひとりの息子』(ロレーヌ・レヴィ監督)~

パレスティナ問題について理解する手掛かりとなる映画です。

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イスラエル人のヨセフが受けた徴兵検査をきっかけに、ヨセフの両親が子どもが取り違えられていたことを知らされるところから、物語が始まります。出産時、病院側が新生児をミサイル攻撃から守るために避難させた際、パレスティナ人の赤ん坊と、取り違えられてしまったのです。


事実を知らされ、ヨセフの両親も、取り違えられたヤシンの両親も苦悩しますが、どちらも母親は実の子どもに会いたいと望むのに対し、父親は育てた子が自分の子だと頑なに言い張るのが印象的でした。子どもたちもまた、苦悩の末ではあるものの、それぞれの実の親に会うことを望みます。


驚いたのは、ユダヤ教のラビがヨセフに対し、「改宗」を勧めたことです。ヨセフはずっとユダヤ教徒として育ってきたのに、パレスティナ人の母親から生まれた以上、「改宗」しなければいけないというのです。


また、事実を知った途端、ヤシンの兄のヒラルがヤシンに敵意を向けたことも衝撃的でした。仲良しの弟が、よりによって自分たちを苦しめているイスラエル人だったわけで、混乱するのは無理もないです。ヤシンの敵意は、いかにパレスティナ人が虐げられてきたかの象徴であるわけです。反面、訪ねてきたヨセフを、初対面にも関わらず、すぐに弟と認め、好意をもって接するところもまた、衝撃的。


テルアビブのビーチリゾートが出てきますが、本来ガザ地区の海岸はあのような姿であることを思うと、せつなかったです。ガザ地区の海岸が、美しさを取り戻す日が早く来ますように。


ヨセフとヤシンが打ち解け合い、二人で鏡をのぞくシーンが良かったです。アブラハムの子であるイサクがイスラエルの十二部族の祖先、イサクの異母兄のイスシュマエルがアラブ人の祖先であることを踏まえたセリフがありました。つまりユダヤ人とアラブ人は兄弟なのです。


ヨセフはヨルダン川西岸地区に住む実の家族たちを訪ねますが、歌を通じ本当の父親の心を和らげるところも良かったです。


現実は、なかなかヨセフとヤシンの家族たちのようにはいかないとは思いますが、二つの民族は兄弟であることを思い出してほしいです。


見出し画像は、鶴ヶ峰駅改札の鶴です。


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