【読書】賢治らしい作品~『氷河鼠の毛皮』(宮沢賢治)~
これを読んだきっかけは、テレビで「氷河ネズミ」という名のコケがあることを知ったことです。そういえば宮沢賢治の作品に『氷河鼠の毛皮』という作品があるけど、読んだことがないなぁと思ったもので。
↑kindle版
↑kindleユーザーではない方は、青空文庫版をどうぞ。
「十二月の二十六日の夜八時ベーリング行の列車に乗つてイーハトヴを発つた人たち」の物語ですが、登場人物の一人にイーハトーブのタイチという、嫌な奴が出てきます。寒さ対策に自分が様々な動物の毛皮を持っていることを自慢している上、他の乗客にからんだり、薄着の青年に自分の外套を無理に貸そうとしたりと、まぁとんでもないやつで、怒った白熊に連れ去られかけます。
しかしその窮地を救ったのは、タイチに外套を貸してやると絡まれていた青年でした。
単に野生動物の味方をするわけではなく、人間には人間の立場があるということでしょう。もちろん自然に敬意を払うのは当然であり、タイチはそこを踏み外したわけですが。
短い作品ですが、賢治らしい作品と言えます。
ちなみに賢治は氷河鼠を本当の鼠として描いていますが、コケの方の氷河ネズミがまた、不思議です。
賢治がコケの方の氷河ネズミの存在を知っていたのか、想像で氷河鼠という動物を考え出したのか、気になるところです。
見出し画像には「みんなのフォトギャラリー」から、氷河の写真をお借りいたしました。
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