【お出かけ】寒川神社の第五十五回相模薪能に行ってきた
昨日は寒川神社の第五十五回相模薪能に行ってきました。相模薪能は、毎年「終戦記念日の8月15日に護国の英霊への慰霊と世界の恒久平和を祈念して」(『相模』第537号、p.6)行われる神事能です。
5時半に始まり、8時終演ということで、まずは腹ごしらえ。
おそばがたっぷりで美味しゅうございました。夕方に食べるお蕎麦も良いですね。
5時から入場開始ということで、4時50分頃行ったら、すでに太鼓橋(神池橋)付近でこの行列。
この太鼓橋、意外と急角度です。久しぶりに来たので、こんなに急だったっけと思いました。
これまた「こんなに大きな狛犬だったっけ?」と驚きました。
会場に入り、階段状の立派な特設舞台が設けられていることに驚きました。平場の後ろの方より、特設舞台の前の方が、ちょっと高くなっている分良いと判断しました。かつ、正面より囃子方や謡方の様子も見える、ちょっと斜めの位置を選択。
上演中は撮影禁止なので、上演前にパチリ。左のしめ縄がかかっているのがご神木です。
わずかながらも高い位置なので、ほどよく風もあり、上演を待つ間もなかなか快適でした。上演前も上演中も聞こえていた蝉の声も、風情あり。
いよいよ上演開始ですが、何せ神事能ですから、いきなり始まりません。もろもろの神事が、約30分あります。観客の私たちまでお祓いをしていただき、ありがたい限りです。
気になったのは、観客にノースリーブ・短パンというラフな格好の人がいたこと。私だってジーパンだったのですから、あまり偉そうなことは言えませんが、入場券に「神事能ですので、露出の多い服装はお控えください」と書いても良い気がします。露出の多い服装の人を、入場拒否する必要まではないにしても。
そして、観ながら家族・友人と感想を言っている(もちろん小声ですが)人の多さも、ちょっと気になりました。歌舞伎ならともかく、能ですから。もちろん狂言は、大いに笑って構いませんけど。
奉行が茅ケ崎市長、副奉行が寒川町と茅ケ崎市の商工会議所会長(確か)でした。奉行の皆さまは裃姿かつ脇差も差しておいででした。
日が落ち、かがり火がたかれると、こんな感じ。これは休憩時間中です。
以下、演目の感想です。
〇半能『春日龍神 龍女之舞』
恐らく単語自体が仏教用語が多く含まれ、難しかったのだろうと思いますが、もう一つ謡やセリフがよく聞き取れなかったのが、もったいなかったです。いつもなら事前に謡曲を読んでおくのですが、今回はそれを怠ってしまったのが、いけなかったです。ともあれ、龍女の舞も龍神の舞も良かったです。途中で米軍のものと思われるヘリコプターが飛んできて、集中力がそがれたのが、残念。
〇狂言『張蛸』
野村萬斎さんが出るとのことで、勝手に太郎冠者かと思っていたら、太郎冠者の主人役でした。太郎冠者が悪い商人に「張蛸とは張り太鼓のことだ」と騙されている間、ぴたっと動きを止めて座っていたのが見事。騙された太郎冠者に怒り、家から追い出したはずが、太郎冠者の太鼓の音に釣られて踊りだしてしまう、なかなか人の良い主人でした。太郎冠者は野村裕基さんだったのではと思うのですが、パンフレットを買わなかったため、不明です。
〇能『葵上』
葵上にとりついた六条の御息所を横川の僧都が法力で成仏させる、という筋が、鎮魂の趣旨に合致しているということで、選ばれたのでしょうか。比較的簡単に折伏されたのかと思いきや、その後の六条の御息所の粘り(?)がすごかったです。
久しぶりの薪能、堪能いたしました。何しろ、やはり事前学習が大事ですね。