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先を読む


秋空や正調踊せいちょうおどりの鳴子なるこ


先を読むには、物事を逆算して考えることが必要になります。

この能力は子どもにはないらしくて、幼い頃から徐々に獲得していく後天的なものです。

病院で働いていたとき、いつも就業時間ギリギリに走り込んでくる看護師がいました。

彼女によると、タイムカードを押した時間は就業時間に間に合っている、だから遅刻ではないということでした。

いつも忙しそうに働く彼女、目には見えない時計お化けに追われているようでした。

さっさと午前の仕事を終わらせて、昼休憩に入るスタッフに「○○さんがひとりで働いているので、手伝ってやったらどうですか」と師長が声をかけてきました。

なぬ?

まるで時間チンで休憩に入る方が手抜きしているみたいで、ナースコールに追われながら走り回って働く彼女が頑張っているみたいな口ぶりです。

しぶしぶ

看護の仕事はチームで行うものであり、人によって仕事の遅い早いもありますし、受持ち患者さんの状態によっても段取り通りにいかないこともあります。

最終的に辛い思いをするのは患者さんです。箸を置き、弁当の蓋をして立ち上がります。

それにしても仕事が遅い。配膳はされているのに排泄介助が終わっていなくて、オムツがボタボタだったり、体がずれたままベッドのギャッジアップをしているので、変な位置で体が屈折していて、こんなんでは気持ちよくご飯が食べられません。

手際よく排泄介助して、体の位置を心地よいポジションにして、食事介助の担当にあとは任せてお弁当アゲインです。

最初のうち、その看護師には逆算して仕事をする能力が欠如しているので仕方ないと思っていました。

でも、実は彼女なりに逆算していたのです。それは終業時間に仕事を終わるのではなく、夜の7時に終わる逆算でした。

たまるか

彼女の時間外労働の手当ては頭抜けていて、手取りも師長とどっこいどっこいでした。

それでも、一生懸命に仕事をしている熱心な看護師というのが師長の評価でした。

評価って、なに?

人が何人かいたら、みんなが各々の価値観で仕事をしたり生活をしています。誰も自分と同じものさしを持っていません。似たようなものさしを持っている人はいるでしょうが、ぴったり同じものさし、価値観の人はいないでしょう。

だから初めての人に会ったら、その人のものさしを確認するようにしています。そうすることで、無駄に苛つくこともありませんが、よく見誤ります。

老眼かな

ちなみに、さっさとやるべきことを済ませ、決められた休憩時間はきっちり頂く、それがわたしの価値観です。

ただ歳のせいか、老婆心からつい手を出してしまいます。抱え込み過ぎないよう気を付けないといけません。

そんな彼女も、今では二児のお母さんです。毎日、時間に追われて大変!と泣きのLINEが来ました。子供に育ててもらってね。

眠れない夜の回想でした。



藍浴衣あいゆかた上腕二頭筋じょうわんにとうきんたくましさ」


俳句と絵と文章、まったく共通点がない(¨;)。飛び跳ねるわたしの思考、そのまんまです。

ただ、自分のなかでは違和感がないんです。ちゃんちゃん!