不満の解消法

不満を溜めに溜めて、ここぞ!というときに不満を爆発させる人がいる。

わたしの知り合いにも、そんな不満の解消のやり方をする人がいる。不満の解消法も人によって違うし、いちいち他人の不満の解消のやり方にいちゃもんをつけても仕方がない。

ただ、不満は腹に溜めていたらいつかは無くなるという訳でもなく、むしろ、熟成されてくるし、むしろ膨れ上がってくる。

これまた別の知り合いの犬の話しだが、彼の犬は猟犬の血が混ざっているらしくて、鶏を見つけると襲って、仕留めて、しばらく土に埋めておく。そして、ほどよく熟成したら、掘り起こして食べるらしい。

肉は熟成して旨味を増すが、不満は熟成させたらさせるほど悪臭を放って、手がつけられない。

そして、ついに不満は大爆発をするのだが、そこに居合わせたら災難だ。

わたしは不満を溜めては爆発させる彼女との付き合いもかれこれ3年余り。今では爆発のタイミングが読めるようになった。だから、「そろそろヤバい」と思ったら距離をとる。

ところが、彼女との付き合いが浅い人はいいカモになる。「ちょっと聞いてくれる?」と彼女に拉致されて、延々と不満を聞く羽目に陥る。

わたしは距離を置いて、聞き耳だけ立てる。真っ正面で彼女を不満を聞きたくはないが、どんな不満を溜め込んでいるのか、人の腹の中には関心がある。

面白いもんで、不満を溜め込みすぎる不満の優先順位がぐちゃぐちゃになるようで、ついどうでもいいような小さな不満までグチグチと言ってしまい、結局、大切な、意味のある不満が何なのか分からない。

ただ、感情的なネガティブ言葉が飛礫の如く飛んできて、ビシビシと刺さって痛い。逃げ損ねた同僚が優しく聞いている。

さぞや痛いだろうに、にこやかに聞く彼女の忍耐は尊敬に値する。

遠くで聞き耳を立てるわたしは、一番彼女が吐き出したい不満は置き去りにされ、小さな不満ばかりが吐き出されているのを見て、「あんなやり方では、不満が再爆発やな」と更にじわりじわりと距離をとった。

そもそも、褒めるにしても、不満を伝えるにしても、大きなモノを一つだけやればいい。

褒め言葉にしても、大きなお褒めの言葉から小さなお褒めの言葉まで、一気に言われても何を褒められたのも分からないし、出来たらもっと小出しに褒めてよ、となる。

褒められて嫌な気分にはならないけど、褒め言葉の鮮度が落ちる。

不満も同じで、一気に吐き出してしまうと、健全な議論をしようとしているよりも、単に愚痴っているような印象を与えかねない。

相手だって、嵐が過ぎ去るまでの我慢と耳を塞いでいるかもしれない。

だから、わたしも不満をぶつけたくなると、一つの不満に絞る。そして、気を付けるのは「ついでに、これも言っとこう」という欲を捨てること。

ついつい、「この際だから」と欲張ってしまうと、口煩いおばさんになってしまう。