【レビュー】日本語が分からず中退迫られる外国人高校生
最近、メディアで外国人児童生徒に関するものが取り上げられている一方で、このままではまずいと感じるものの増えてきています。いろんなオンライン記事について別な視点を提示していきたいと思います。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_63ae8bdbe4b0fe267ca80e18
気になる点1 前触れもなく中退?
この記事のタイトルにもなっているように、日本の高校では日本語が分からない生徒に対し、前触れなく退学をさせるのが、珍しくないように書かれています。ただ、私自身学校で働いてきてそれはさすがないと思います。
これは推測にしか過ぎませんが、学校からの注意喚起が分かっていなかったとか、高校のシステムを理解していなかったとかが原因ではないかと思います。ですから、そういう高校があるということではなく、通訳等を交えた情報保障の強化の重要性を指摘してもらいたいと思います。
気になる点2 中退率の一人歩き
記事では中退率の高さについて指摘があります。しかし、上方修正はあったものの、中退率は前回調査よりも低下しています。その点に一切触れていないのは少し疑問を感じるというか、学校批判ありきなのかという印象を持ちます。それから、私が知る限り、「日本語ができない」ことが原因で中退した生徒を見たことがありません。そんなに単純なことではないのです。どちらかというと、日本語がそこまでできないわけではないけど、勉強に興味が持てない、なんとなく言われるがままに高校に来たということが多かったです。すると、アルバイトでも稼げるから、将来頑張っても未来が見えないから、そもそも自分の国でも学校に行けず勉強が苦手だから...そんな理由で去っていきました。それに、家族の問題で精神的な問題で帰国せざるを得なかったケースもあり、中退そのものの理由の精査も必要ではないでしょうか。
気になる点3 取り出し指導は特別の教育課程だとは限りません
取り出し指導は別室で日本語教育等を行うものを広く指します。一方で、特別の教育課程はそのうち教育委員会に届け出るなど所定の手続きを経たものを指します。また、高校で特別の教育課程がなくても、特定の学校ではあるものの学校設定科目等で長く日本語教育が行われてきましたので、不正確な記述が続いているように見受けられます。
気になる点4 「高校の高度な教育内容に追いつけるほどの日本語」
私、今本当に悩んでいます。もしそれが具体的にどんなものか知っている方がいらしたら、すぐ教えてください。ただ、このような発言からは日本語が分からなかったら、何も分かっていないとみなしているのではという気持ちになります。記事でも学習経験や母語については触れられておらず、このような偏った見方を補強するような役割を果たしている点にもう少し気を遣っていただきたいものです。
気になる点5 教員免許と日本語教師の資格を持っている人はいない
よくメディアでこのような文言が見受けられますが、全国的に教員を対象として調査を行なったことありますでしょうか?(私の知る限りないです)
教育委員会の方々は調べもせずになんとなくいない気がするくらいのことを、既成事実としていないと吹聴しています。少なくとも、私の周りで日本語教師の資格を持っていても、若手は教職としての経験をとか、クラス担任を持ってもらわないと回らないとか、そんな理由でやりたくてもできない人がいます。
その点でも記述が十分でないように感じます。