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第58回:功利主義者(ユーティリタリアニズム)とトロッコ問題

 功利主義とはなんですか? と以前質問を受けたので「他の人の知恵」も借りながら何とか解説していこうと思います。 色々あって回答が遅れて申し訳ございません。とりあえず「wiki さん」の解説から入ってみましょう!

 功利主義(こうりしゅぎ)またはユーティリタリアニズム(英: utilitarianism)は、 行為や制度の社会的な望ましさは、その結果として生じる効用(功利、有用性、英: utility)によって決定されるとする考え方である。帰結主義の1 つ。 「功利主義」という日本語の語感がもたらす誤解を避けるため、「公益主義」や「大福主義」といった訳語を用いることが提案されている。

 はい、何を言ってるかわからないと思います。 とにかく「哲学」と「金融」の世界は、こんな禅問答みたいな話ばかりなのです。 だから、まぁ、私みたいな人がドヤ顔できるのですけどね。

 さてまずは、分かりやすくポイントを絞ってみましょう! 功利主義は主に下記4 点の思想と言えます。

Point1.何かの行為の「良し」、「悪し」を決めるの最も結果を重視する「帰結主義」
Point2.この帰結=結果の判定として幸福を重視する「幸福主義」
Point3.幸福を足し算で考える「最大多数の最大幸福」を重視する
Point4.一人を一人以上には数えない「公平性」(重みがそこにはない)

 功利主義は一般的には「自己中な考え方」と言われますが、これを読んであれ? と思いませんでした?

 そう功利主義は、字面だけを読んで 自分の利益だけを追求することを善しとする学説と思っている人が大多数なんです 。学者ですらそう思っている人がいるんですよ?本当に哲学って難解ですね。

 誤解を恐れずにいえば、現代哲学の主義主張はだいたい「最大多数の最大幸福」を目的としています。 これは「民主主義国家」の「理念」そのものですから、「民主主義国家」で発達した現代哲学のゴールはだいたい「功利主義」です。 マイケル・サンデル氏の信じるコミュニタリアニズム(共同体主義者)も「最大多数の最大幸福」がゴールですが、「共産主義」よりの考え方ですね。

 ここで誤解して欲しくないのは、私は共産主義国家を否定しますが、共産主義や社会主義は否定していないことです。 つまり、責任は「制度」にあるのではなく、それを運用する「人間」に帰するのです。

 さて、ここからはマイケル・サンデルさんの本から引用します。 といっても「功利主義」を説明する時にテンプレイトとして使われるトロッコ問題です。

問:
 暴走しているトロッコがあります。 1つの線路には5 人が縛り付けられていて、もう1つの線路には1人が縛り付けられています。 何もしなければ線路に縛りつけられていた5 人の人はひき殺されますが、 線路のスイッチを切り替えてトロッコを別の線路に引き入れれば五人は助かりますが、別の線路の1 人がなくなります。 さてあなたはスイッチを切り替えますか?


トロッコ問題(wikipediaより引用)

 この問いに対し、私みたいな「功利主義者」の考え方をします。 折角なので、上で指摘したPoint に沿って考えてみましょうか?

Point1.まず初めに考えるのが「帰結主義」。
 帰結主義は「結果」がすべてですので「五人が死んでしまうのか一人が死ぬのか」その帰結に思考をフォーカスします。 「道徳理論」や「倫理理論」の中には「帰結」よりも「動機」の方が重要だという話もありますが、 功利主義者はその点にあまり興味をもたないのです。

Point2.次に考えるのが「幸福主義」。
 幸福の定義は難しいのでそこは置いといて、例えば、線路に縛り付けられた5人と線路に縛り付けられた1人の両方が死にたくないと思っていたなら、この人たちが死なないという帰結を大事にします。 ここで重要なのは、もしどちらかが「死を望んでいたなら(自殺なら)」ば結論は変わるという事です。

Point3.次に考えるのが「最大多数の最大幸福」。
 幸福の足し算の総和を最大化できるかどうかを考えます。 今回の場合は、五人か一人かどちらかを助けるということになるので五人の方が幸福の量が多くなると考えます。

Point4.最後に「公平性」があります。
 全体の利益を考慮する際に「自分の利益が一番大切」とか「自分の家族の利益が大切」とか考えてしまいますが、功利主義者は、1 人線路に縛られた人物が「家族」であっても5 人を助ける方を選ぶのです。ここは所説ありまして、自分もこういう状況なら「家族」を優先してしまいますから、「ワガママ」なのかもしれません。

 と、これが功利主義者の思考パターンになります。

 この功利主義を極めていくと

「俺がここを食い止める。お前たちは先に逃げろ!」

 みたいなセリフを自然に言えるようになるのですが、 残念ながら「ピヨピヨ」の功利主義者である自分にはまだ言えないセリフです。

 私は、まだまだ自分がかわいい「精神年齢」で、自分の「幸福の最大化」を目指してしまう「ワガママな人間」なのです。 そこはご理解していただけると助かります。

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