ついに顔のイボを取ってやったぞ
顔のイボを取った。
はじめはただの小さな黒いホクロだったのだが、じわじわと大きくなっていき、最後は肌色の巨大なイボとなった。
口元にあるし、ホクロのうちは椎名林檎みたいでかっこいいじゃんと思っていたのだが、肌色のイボとなれば話は別だ。
イボになってから更に巨大化が止まらず、ついに遠目でも分かるほどの存在感に。
本当は秋になってから取ろうと思っていたのだが、一度気になり始めたら止まらず…
「かー!もう今すぐ取りたい!!」
私は昔から"タイミング"が急にくる女だ。思い立ったら助走なく全速力で立ち向かう。が、走り出すにも行き先だけは決めなければならない。
選択肢は2つ。
1つ目は、昔からお世話になっている皮膚科のおじいちゃん先生のところ。実は診察だけは随分前に受けたことがあり、先生も取ることができるらしい。
ただし、おじいちゃん先生に取ってもらう場合は下記のようになる。
・取り方…切除
・費用…保険適用で1万円程度
・メリット…おじいちゃん先生への絶大な信頼
・懸念点…5mm以下のイボに対して数cm切らないといけない
・懸念点…術後は1週間病院に消毒に通わなければならず、仕事に支障あり
・懸念点…予約してから数週間後に切ることになる
懸念点だらけではあるものの、おじいちゃん先生には絶大な信頼があるので、術後の傷跡の心配はあまりしていない。
対してもう1つの選択肢は、美容外科で取る方法。
・取り方…診断次第だが多分レーザー
・費用…レーザーなら多分保険効かず2万弱?
・メリット…行ったその日に取ってもらえる
・メリット…レーザーなら消毒通院不要
・懸念点…高い
・懸念点…再発しないかどうか不安
レーザーであれば、とにかくサクッとできるのが強み。
この時、私の心には既にイボに対する殺意が芽生えていた。なぜならイボから毛が生えていたから。
「調子に乗るな!」
そうイボに言い放ち、すぐ美容外科を予約した。長い間皮膚科と美容外科で迷っていたが、スピード感で美容外科が勝利した。
美容外科に到着。
「16時のマルゲリータです。」と受付で名乗った。
「おかけになってお待ちください」
そう言われて実際椅子に腰掛けたのも束の間、
「マルゲリータ様〜、診察室の前へどうぞ」
え、もう?!まだ到着して5分も経っていない。心の準備が整わないまま診察室へ。
「こんにちはー!」
このクリニックには以前軟骨ピアスを開けるために来たことがあるが、出てきたのは前と同じ先生だった。
ずっと誰かに似てると思っていたけど、古谷徹だ。最近文春砲でたくさん見たからようやく分かった。
先生にイボを診てもらった結果、レーザーで取ることになった。取ったイボを検査するので保険も適用になるという。ありがたい!
そうと決まると、スピーディーに手術台のような所に乗せられた。いかにもという感じで緊張するが、薄っすらと軽快な音楽が流れている。あぁ、ビリー・アイリッシュだ。こうやってリラックスさせるのが目的なのだろう。
ちょちょいと消毒し、麻酔の注射を打たれた後すぐレーザー照射が始まった。イボが焼ける臭いが強く、さすがに緊張する。拳を握りしめ、ビリー・アイリッシュに集中した。テレッテテレレレテレッテテレレレ…
麻酔をしているから痛くはないが、切れていくにつれて先生がイボを摘んでいる感触がする。まもなくちぎれそうな感覚がムズムズする。早く終わってくれ…!
5分も経たないうちに終了した。すごい。こんなに早く取れるだなんて。感動して古谷徹が神に見えた。
終わった後は助手の女性からアフターケアの説明を聞いた。「はい、はい」と相槌をうって話を聞く最中、その女性の顔がツルツルであることに気づいた。そういえば古谷徹もツルツルだし受付の人も全員ツルツルだった。
「最後に質問はあります?」と聞かれ、こう聞いた。
「ケアは分かりました、ありがとうございます。ところで皆さんやっぱりここで何か施術されてるんですか?」
どうやら全員そこのクリニックで販売している化粧水を使っているらしい。今使ってるものが無くなったら買いにこようと決めた。
2,3週間は傷口にテープを貼らなければならず、特に最初は傷から出た血液やお汁(黄色いやつ)が漏れ出してくるので貼り替えの頻度も多いとのことだった。
たしかに、クリニックから家に帰ると既にお汁が漏れていて、結局初日は3回貼り替えた。
早く塞がってくれないだろうか…2日目に友人と会う予定があるのだが、これじゃ笑った時に血とお汁を噴射してしまう。喋る時はいっこく堂にならなければ。
しかし、これまで自分がお金をかけてきたものの中でも、美容というのはとても有意義だと思える。
特に今回のイボは精神的に効果絶大。あのイボがもう顔からなくなったのだと思うと力が湧いてくる。元気が出る。今なら飛べる。
イボが無ければ何でもできるッッッッ
その勢いで、友人に連絡した。
私「聞いて!顔のイボ取ったの!」
友人「イボなんてあったっけ?」
私「」
実際は他人のイボなんてそんなもの。
でもいいのだ、自己満の美容こそ女の至福なのだから。