日報 3月23日 うちの町には何もない?
記入者:かくなみ みほ
都会と呼ばれる場所にも、地方と呼ばれる場所にも、
「うちの町には何もないよ」と言う人がいます。
確かに、都会には前人未到の大地やそびえ立つ山々はないし、
地方には5分に一本の割合でホームに来る電車もない。
全国の町々で「ないもの」を探すと、結構あるでしょう。
じゃあ、「何がある」と、いいんでしょうか。
「何もない!」と言っている人の中に、
「何がある状態がベストか」を提案できる人はいるんでしょうか。
「何もない」と言っている間は、
目の前にある、手を伸ばせばすぐ届くところにある宝物でさえ、
見つけられないと思いますよ。
ガンジス川はインドにしかないけれど、
その一部は海に溶け出して、日本にも流れてきています。
でも、ガンジス川の周辺で過ごす人々の雰囲気や土地の空気は、
やっぱりインドに行かないとわかりません。
今ここにないものは、他の場所にはきっとある。
地球規模で考えたら、この世界には何でもある。
だから、“今ここにしかないもの”もあると思うんです。
どこか遠くの美しい景色に憧れを抱くことはあっても、
いつも近くにある町の夕焼けや、川の流れもとっても美しいと感じます。
その景色を見ている時間の中で感じたことは、
今ここにしかない、自分だけのものです。
今ここには、
酸素、二酸化炭素があります。
おかげで息ができ、血液が循環します。
だから身体は腐らずに、毎日細胞を入れ替えることができます。
田畑やコンクリートの下には土があります。
土の中には微生物が生き、彼らが耕した土で作物が育ちます。
土があるところには道ができます。
道があるおかげで、散歩やデートをして楽しめます。
トラックやバスが物と人を運んでくれます。
当たり前にあるものばかりで、
時々その有り難みが忘れられています。
暮らしが成り立っているのは、
この地球の生命活動そのもののおかげさまなんです。
今ここにあるものを感じながら暮らしてみたら、
きっと「うちの町には何もない」なんて、二度と言えませんよ。
その土地(人)がすでに持っているものを生かして磨いていったら、
個性が尊重される豊かな世界になるんじゃないかしらね。