18Cモードの中心で咲いた一輪の薔薇、『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』は面白いぞ!
『ベルばら』は中世ではなかったのね……。
「面白いよー」とのお勧めあって、『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』読みました。己の『ローズ・ベルタン』に関する知識と言えば、『ベルばら』でロザリーが働こうとした服屋さん……くらいです。
舞台は18世紀のパリ。かの有名な、マリー・アントワネットがフランスに嫁いでくる少し前から始まります。
当時の国王はルイ15世。『三銃士』で有名なダルタニヤンが仕えたのはルイ14世なんで、時代的にあの後ですね。
思えば、この時代の自分的フランス知識って、現在までほぼ『ベルばら』一色。小学生の時に読んだというに、すばらしい影響力です。
『司馬遼太郎』があまりにも素晴らしいので、かの文豪の書く小説がすべて史実と思ってる人間が多数いるように、自分も『ベルばら』がほぼ史実と、心のどこかで思っていました。
……が、違いました。当たり前です。物語というのはフィクションです。話を盛り上げるための、作者の豊かな想像力の賜物なのです。
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この『傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン』と前後して、『ベルサイユのゆり』という小説を読みました。こちらも悲劇の王妃、マリー・アントワネット様関連です。
これを読んで驚いたのは、デュ・バリー夫人。確かにマリー・アントワネットと対立したけど、それほど深刻なものでなく、ルイ15世の死後ベルサイユを追われてからも、それなりに優雅に暮らしていたとの話。
『ベルばら』では初期の悪役として、権力を笠に着た意地悪おばさんとして描かれてましたが、こちらも随分違うらしいですね。宮廷内のどろどろした権力闘争に巻き込まれて対立させられた、みたいな感じでした。
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このデュ・バリー夫人が、『ローズ・ベルタン』でも早々に、重要な役割で出演されてます。なんといってもデュ・バリー夫人も元は、ローズ・ベルタンと同じパリのお針子!
当時、パリのお針子達が、娼婦的役割をしていたというのも、新たな知識でした。この辺は、ぜひ『ローズ・ベルタン』を読んでほしいです。巧みな話と、精密な絵で革命以前のパリの様子がとてもよく分かります。
(著者の雑学ページでも、史実と作中のエピソードの比較をしています)
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18世紀。服飾の世界といえど、まだまだ圧倒的な男社会で、才能を武器に、一介のお針子から、宮廷御用達のモード商へと駆け上がっていく女性。
そして、その栄光の先にはフランス革命という、絶望的なステージが待っている……。
魅力的なのは、女性だけではありません。女たらしだけど髪結いの腕は確かで、ベルタンに対しては誠実という、イイ男も出ています。
当時のヨーロッパモード界の中心、パリで。落日の火で灯された、絢爛豪華なベルサイユが、どんだけドラマチックに描かれていくのか。期待を胸に次巻を待ってる次第です。
↑この青いドレスのグラマーな方が、ルイ15世の愛人『デュ・バリー夫人』でございます。いい役処です(´▽`)
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