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牛の健康を追求したお肉が引っ張りだこ!梶岡牧場の挑戦。稀人マルシェ2023

※諸事情により、今回の稀人マルシェで梶岡牧場のしょうひんの取り扱いは中止となりました。

【牛肉の格付けって味の評価じゃないって知ってた?】

牛肉には「A〜C」のアルファベットと「1〜5」の数字で表す格付けがある。肉屋さんや焼き肉店で、最高級品を示す「A5」をアピールする牛肉を見たことがある人もいるだろう。

実はこの格付けが「見た目」を評価するもので、「味」は一切関係ないって知ってた? 僕は知らなかったから、梶岡牧場(山口県)の梶岡秀吉さんからこの話を聞いた時、マジでビックリした。

もうひとつ、ええ!?と思ったのは、牛肉の見た目をよくするために、「ビタミンコントロール」が行われているということ。牛に与えるビタミンを生存に必要なギリギリの状態にすると、自分の身体を守るために栄養を蓄えようとしてサシが入るのだ。このサシが見た目の評価を高くする。

でもさ。人間はビタミンが不足すると疲れを感じやすくなる、肌が荒れる、筋力が低下するなど健康にさまざまな悪影響がある。慢性的にビタミン不足状態にされた牛はどうだろう? 「サシがたっぷり入った肉を食べたら胃がもたれる」という人は少なくない。梶岡さんはその理由についてこう話す。

「ビタミン不足というストレスに晒された不健康な牛の脂は、酸化すると考えています。だから、胸やけするんですよ」

梶岡さんはこの「格付け」を疑問視し、一切無視して、「味」だけにこだわろうと決めた。だから、梶岡牧場では2014年から牛の繁殖、肥育から精肉まで一気通貫で手掛ける体制をとっている。分業化が進んでいる畜産業界では、常識外れの決断だ。

梶岡牧場の梶岡秀吉さん(撮影:川内イオ)

「うちに生まれた牛は、肉になることが定めじゃないですか。同じひとつの命を奪ってしまうなら、食べた人においしいって喜ばれる命のつなぎ方をしていくことが僕らの使命だと思うんです。だから自分たちが食べておいしい、また明日も食べたいと思うようなお肉を作っています。それを、皆さんどうですかってお裾分けする感覚ですね」

この指標を満たすためにたどり着いた答えが、牛の健康。「人間は、その人が食べたもので構成されている。牛もまた同じ」という考えから、米ぬかや酒粕、酒米の米粉などをベースにした人間が食べても安全な、抗酸化作用のある発酵飼料を与えている。

飼料に使うのは、地元や近隣で仕入れた安心、安全なもの。飼料にするものはだいたい生産者が処分しきれないものだから、それを定期的に買い取ることで両者のメリットにもなっている。

牛の健康への配慮は、牛舎にも及ぶ。牛の居住スペースの床には化学薬品が使用されている可能性がある建築廃材などは一切使わず、3倍のコストをかけて敷料として専用に製造されたおがくずを敷いている。さらに、一般的には1カ月から半年ほど使い続けるその敷料を2週間に一度、入れ替えている。

そして通常、牛は生後20数カ月で出荷されるが、梶岡牧場では32ヵ月以上、長いものは40カ月以上育てる。熟した野菜や果実のうま味が増すように、牛も熟成させるために時間をかけるのだ。

梶岡牧場のお肉たち(撮影:川内イオ)

徹底的に味と健康にこだわった「梶岡牛」は今、引っ張りだこ。牛の健康を管理し、最適な時期を見計らって一頭ずつ出荷するんだけど、取引先にその告知を出すと、あっという間に有名店からの注文でリストが埋まる。そのリストには、ミシュラン掲載のレストランや世界的VIPも宿泊する名門旅館などが名を連ねる。

梶岡さんは自分で育てた牛の肉をわずかでもムダにしないために、一頭分を使い切ってから次の出荷をする。レストランで使いづらい部位は、ハンバーグや牛丼に。だから、ハンバーグや牛丼もどの牛の肉を使ったのかがわかるし、味のクオリティは梶岡牛のステーキ肉と変わらない。梶岡牧場の肉汁溢れるハンバーグと滋味豊かな牛丼は、ひと口食べた瞬間に「違い」がわかる。なんていうんだろう、身体が喜ぶ「肉」の味がするのだ。

(画像提供:梶岡牧場)
(画像提供:梶岡牧場)

稀人マルシェで牛肉を扱うのは難しいとわかりつつ、どうにかして梶岡牛の味を広めたい!と梶岡さんに連絡をしたら、ハンバーグや牛丼に限り、特別な方法で提供させてもらえることになった。

「見た目」の格付け無視。
牛の健康がおいしさにつながると信じて作る梶岡牛。
冷凍だから食べやすいハンバーグと牛丼、いかがでしょうか?

僕が書いた梶岡さんの記事はこちら!
格付け無視で「味に全振り」する梶岡牛 地域に循環経済を生み出す梶岡牧場の挑戦

稀人マルシェ2023
12/21:15時~20時
12/22:15時~20時
12/23:12時~20時

ギャラリー山小屋
東京都渋谷区恵比寿1丁目7−6

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